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あすなろ
あすなろは桧をいつも見ていた いいな、かっこいいな あんな風になりたいな 伸びやかなまっすぐの幹 雨風にも負けないしなやかな枝 いいな、いいな 僕もなろう 明日はなろう きっとなろう 25メートルを泳ぐのは楽勝だ 息継ぎの必要なんかない 手足を動かして、ただ前へ進めばいい 50メートルとなると、かなりしんどい 1キロなんて気が遠くなる 息継ぎが思うように出来ない 腕をあげた時に、その方向に顔をあげてしか 息が出来ないなんて間違ってる 俺は俺の好きな時に息を吸いたいのに 彼は軽やかだ 呼吸と腕のリズムを合わせるだけだよ、と笑う こともなげに笑う 明日は彼のようになろうと思う あの強さ あの軽やかさ 明日はなろうと思う 彼を見るたび思う 知恵の輪をこねくりまわしている じっと見つめて、ああでもない、こうでもないと考える 手は既に止まっている あとは目と頭がくるくるしているだけ 彼はじっと固まってる俺に近づいて話しかける 何面白そうなことやってるの 俺の手から取り上げて、かちゃかちゃ動かす 取れた!と嬉しそうに笑う すごいな、どうやって? と訊ねると わかんないけど取れた と笑う 明日は彼のようになろうと思う あの強さ あの軽やかさ 明日はなろうと思う 彼を見るたび思う ←back to top |