裏庭 / 35


そうした衝動の解消法に、僕はその時分にはまだ長けていなかった。

自慰行為をしたことがなかったわけではない。
しかし僕はいつでも自分の吐きだした液体を眺め、その臭いを嗅いだ途端に
我に返り、罪悪感に苛まれていた。
液体を拭ったチリ紙をゴミ箱に捨てることすら、許されざる罪悪のように感じた。

そしてそれを為す度に、もう二度とこんな行為はするまいとすら誓った。
皮肉にも、そう強く誓った時ほど、次に性欲の高まりをおぼえるまでの期間は
短かった。


僕は、そう、自慰行為の最中に泣いたことすらある。
罪悪感と羞恥心を無視できなかった。
それでいて、上下運動を繰り返す手を止めることも出来なかった。

僕は、精液と涙を同時に零した。


自分という存在が、惨めで、浅ましく、矮小な存在であるように感じた。

僕は、意思の力だけで抗いきれない肉体からの要望との折り合いを
つけられずにいたのだ。


それを幼さと呼ぶか。
しかしそれこそは大人の軽薄なのだ。

僕は大人になった今でも、確かにそう思う。




>>to be continued

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