日曜日に散歩に出かけようと、英二から誘われた。
どこにいくの、と訊いたけど、彼はいいから、としか言わない。


横浜市内のJRの駅、ショッピングセンターがあるのとは反対方向へ出て、
2つだけバス停のあるターミナルに向かう。
タクシー乗り場の看板が錆びている。
タクシーは一台もいない。
30分待ったところで、ようやくバスが来た。
英二は俺に、210円を握らせる。


「ここ」
住宅街に降り立つと、ようやく英二は口を開いた。
「ここに来たかったんだ」
「何があるの」
「何もないんだけどね」

そうして町の中をぽちぽちと手をつないで練り歩いた。

英二の話を聞きながら。


ここってさ、JRの駅ができるって話だったんだって。
もう20年以上も前の話だけど。
それで、こういう住宅が一気に売り出されたんだってさ。
だけど、駅はこの山の向こうに決まったんだ。
そしたら、ここって駅にはバスで山越えしないと行けない、
不便な住宅街じゃん。ただの不便な住宅街。


「ねぇ、大石、あの喫茶店」
「営業してるのかな」
「電気はついてる。行ってみよ」

俺たちは閑静な住宅街を堂々と手をつないで歩く。
うかうかと歩く。

「どう?」
「うーん、中はぐちゃぐちゃだなぁ…」

店先が煙草屋になっているその喫茶店の店内は、
営業する努力の見られない有様だった。
煙草屋のカウンターについているインターホンを押しても、
誰も出てくる気配がない。

「いないね」
「うん、誰もいないね」

そうして、俺たちはまた町中をうかうかと歩いた。

幼稚園の壁に描かれた壁画は、何年も昔に描いたものであろうか。
すっかり色あせて、下のコンクリートが丸見えだった。

小学校の樹木は、太くて立派な枝振りだった。

大きな桜の立ち並ぶ長い大通りには、普通の民家とコンビニ2件、
そしてラーメン屋1件しかなかった。



そうして、俺たちはバスに乗って帰った。
都内まで戻ったところで、俺たちはどちらからともなく、
手を強く握って、ホテルに直行した。


英二はいつになく身体が熱かった。
火照った身体を何度も俺にこすりつけて求めた。
俺たちは何度もセックスをした。




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