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anchor/another ending
にっこり笑って、大石は俺の股間に手を伸ばす。 「ほしいの?」 俺たちは去年からまた体を重ねるようになっていた。 前とは違うやり方だったけど。 「おーいし、えっちだね。いつからそんなにえっちになっちゃったの?」 俺は大石の手を握って俺を握らせる。 大石はわかってるのかわかってないのか、ふんわり笑う。 笑って俺の学生服の下に手を滑り込ませる。 「ほしい、大石?」 病室は個室だったし、逃げられないように鍵もかかる。 俺たちは裸になって交わる。 この時間だと、あと30分は見回りに来ないことを俺は知ってる。 そういう賢しさは、まるで前に大石がそうであったように。 くん、と鼻をならす大石。 変な照れも、羞恥心もなく、大石は俺を求める。 そんな大石が、俺はたまらなくいとおしかった。 大石が可愛いと思った。 大石を守りたいと思った。 「大石、なめて」 俺は大石の目の前に腰をつきだして、大石に握らせる。 大石はピンクの舌を出して、ちろちろと先を舐める。 いつだったか、こうして舐めてくれたっけ、と思い出す。 「ね、咥えて」 言葉ではわからないので、大石の頭の後ろを抱えて自分に近づける。 くちゅ、と音がして、大石は俺を咥える。 本能でわかるのだろうか、大石は俺を口で扱く。 舌の腹で裏筋を愛撫しながら、口に出し入れする。 「いいよ、大石」 大石の頭を撫でる。 くうん、と嬉しそうに、大石は鼻をならして、咥えたまま俺を上目遣いに見上げる。 くちゅ、くちゅ、と音が冷たい病室に響く。 あとは何も聞こえない。 防音を施してある精神病棟は、本当に異様なくらいに静かだ。 俺は腰を引く。 大石の舌が俺を追ってくるけど、それを制して、大石の唇にキスをする。 「いっぱいキスしよ、大石」 大石のキスが好きだった。 俺は、大石が俺に優しく落としてくれるキスが大好きだった。 髪にこの綺麗な鼻をもぐりこませて、ちゅ、とたててくれる音が大好きだった。 今はもうしてくれないけど。 いつかきっとまたしてくれると俺は信じてる。 この光景を見たら、人は何と言うのだろうとぼんやり考えながら、 俺は大石の中に腰を沈めていく。 きっと俺は、何もわからない少年にイタズラをしている悪い奴なんだろう。 性的暴行とか、性的虐待にあたるのかしらん、と思うけど。 くんくん鼻を鳴らして大石が腰を振る。 まだ半分しか入ってないのに、もう感じてるんだな、と思う。 俺たちのセックスに愛はあるんだろうか? 大石が俺を抱いた日々。 あの時には確かに愛があったと思う。 俺たちは愛し合ってて、互いを求め合って、切ないくらいに抱き合ってセックスをした。 気持ちよかったけど、目的は快楽じゃなかった。 繋がること、ひとつになること。 俺たちは体を繋げても、ひとつにはなれなかった。 それでも俺たちはもがくようにしてセックスをした。 ひとつになれないもどかしさを振り払うようにセックスをした。 奥までぐっと腰を沈めて、大石の恥骨に自分の腰をこすりつける。 「あううう・・・」 大石が獣のような嬌声をあげる。 「イイの、大石?俺ので感じてるの?」 俺と大石の繋がってるところが熱い。 焼けるように熱い。 俺は大石を愛してて、大石を犯して。 でも大石はどうなの? 俺を愛してるの? 俺が泣いてるのがわかる、大石? 「英二、アイシテル」 セックスのたびにそう囁いたね。 普段は愛してるなんて言わないくせに、セックスの時にはうわごとのように繰り返したね。 「アイシテル」 恋しいよ、大石。 大石のアイシテルが恋しいよ。 俺を抱きしめて、大石。 「おーいし、あいしてる」 俺のアイシテルは君の心に同じように響くの? 「おーいし、おーいし・・・」 俺は大石の上に乗って、腰を激しく動かす。 大石を貫く。 「ううううっ」 大石は叫ぶ。 羞恥心もなく、感じたままを声に出す。 その姿はすごく綺麗で、艶かしくて、淫らで、悲しかった。 大石は獣みたいだった。 ぐちゃぐちゃと音が響く。 俺は泣いてた。 大石を犯しながら泣いてた。 大石が泣いたのが、ほんの少しわかった気がした。 アイシテル、アイシテル。 言わずにおれないんだ。 わかったよ、大石。 俺たちが愛し合った日々。 愛し合ってる日々。 吹けば飛ぶような軽やかな。 ままごとと言われても、俺たちは真剣に愛し合ってた。 「えーじ、えーじ」 大石が俺の名を呼ぶ。 大石が言えるのは、俺の名だけ。 「えーじっ」 彼は俺の名前しか言えない。 切ない顔で、切ない声で俺を呼びながら、大石はのぼりつめていく。 「ああっ、えーじ!」 涙がこぼれて、大石の胸の上に落ちる。 「大石、あいしてる」 甘い泣き声を出しながら大石が悶える。 「えーじ、え・・・じ ああああん」 抜けるような白い肌が波打つ。 すごく綺麗で、すごく悲しい。 「おーいしっ、おーいし、でるよ」 「えーじ、えーじ!」 「アイシテル」 そう大石が言ったように聞こえたのは俺の空耳だったのだろうか? それとも、意味もわからずに口走ったのだろうか? それとも、俺の声だったのだろうか? 俺は大石の中に白濁したものを吐き出した。 俺たちは愛し合ってた。 俺たちは愛し合ってる。 でもホントに? 「えーじ」 大石が俺の胸に頬を寄せる。 「えーじ」 ちゅ、と俺の胸にキスをする。 「えーじ」 ねぇ、大石、わかってる? 俺の名前だよ。 わかってる? 「うっ・・・ふ・・・」 「えーじ?」 俺は泣く。 君を抱きしめて俺は泣く。 恋しいよ、大石。 俺は 12で恋を知りました 15で愛を知りました でも 18で涙も知りました |