DARWIN


怖かった。
身がすくんで動けなかったんだ。
本当だよ。
抱かれてもいいかな、なんてちょっとも思わなかった。




夜の部室。
嫌な雰囲気ではあったんだ。
「部室に残っててくれ」なんて言われてさ。
ちょっとお前の耳に入れておきたいことがあるんだ、なんて。
ラグビー部のやつらに言われたんだ。
お前の部の副部長のことで、って。
そんなふうに言われて、俺もその話に乗るなんて、どうかしてたんだ。
だけど、大石のことって言われたら、どうしても聞きたくなったんだ。

だって大石は俺のコイビトで、俺の大事な人だから。
何でも大石のことは知っておきたかったんだ。




「英二、帰らないのか」
「うーん、ちょっとさぁ・・・」
俺は練習後、声をかけてくる大石の目を見られなかった。
「どうしたんだ?」
「うん、ちょっとね、用があってさぁ」
「うん」
優しい笑顔で俺を見る副部長。
副部長で、俺のコイビト。

おまけに鍵当番だから一番最後まで部室にいる人。
この人から鍵を預からないといけないわけだ。
うまい言い訳が思い浮かばない。

「それでさぁ」
「うん」
「鍵、ちょーだい」
にゅっと手を出す。
「鍵?何の?」
「ここの。俺がちゃんと閉めて帰るから」
「どうしたんだ、英二?」
にこにこ笑ってる。
俺は胸が痛んだ。
この人に内緒で、この人の話をするために、この人にウソをつく俺。

「いいじゃん、貸してったら」
自分に嫌気がさした。
だからすごく嫌な言い方になった。
お門違いの八つ当たり。

「どうしたんだ、英二」
俺の頭をぽん、と撫でる。
「用事があるなら、俺も一緒に残って待ってるぞ」
にこにこ笑う。
優しい顔。
いっつも優しい。
だからムカつく。
自分に対して。
ウソツキで裏切り者で猜疑心のカタマリの自分に対して。

「うっさいなぁ!」
俺は何でこんなこと言うんだろう。
そんな風に思いながら、大石の手をふりはらった。
「保護者面すんなよ、いつもいつもさ!」
大石はびっくりした顔で立ちすくんでいる。

優しい人。
大きい人。
俺の大好きな人。
だから俺は自分に腹が立つ。

「邪魔くさいんだよ!俺だって自分の用事がある時だってあるだろ!」
こんなこと言うなんてどうかしてる。
俺は本当にどうかしてる。
「いいから鍵よこせよ!」

大石は少し傷ついたような顔を一瞬したけど、ズボンのポケットに手を入れて、鍵を出した。
「じゃあ明日の朝、頼むな」
そうして微笑んで、くるりをきびすを返し、自分のロッカーの方に行ってしまった。

ごめん、大石。
ごめん、ごめん。ごめんなさい。
そう言ってその背中にしがみつきたくなるのを抑える。


大石は荷物を持って、出ていってしまった。
バタン、と部室の扉が閉まる。
絶望的に響く。




俺はベンチの上で膝を抱えて背中を丸めた。
何であんなふうにしか言えなかったんだろう。
大石は怒っちゃったかな。
俺なら怒るな。
すっごく怒るよ。
大石は微笑んでたけど、きっと怒ってるよな。
ゆるしてくれるかな。
もう俺のことなんて嫌いになっちゃったかな。
半べそをかいて、俺は部室の隅で丸まっていた。




がちゃ、とノブの回る音がして、俺は顔を上げた。
「大石?」



だけど、中に入ってきたのはラグビー部の奴が2人と、あと、同じ学年の奴、
名前はわからない、1人、合わせて3人の同級生だった。

「お、菊丸、ちゃんと残ってたんだ」
「うん、だって・・・」

だって、大石の話だって。

3人はどかどかとテニス部の部室に入ってくると、やおら一人が
夕日の差し込む窓のカーテンをしめる。
一人はドアの鍵を閉める。
もう一人の一番体格のいい奴が俺にずんずん近づいてくる。

「大石の話って何だよ」
俺はちょっと警戒して身を固くしながら尋ねる。

「ああ、その大石さ」
ニヤニヤしながら近づく。
「お前、おホモ達なんだってな」
「それがどうかしたのかよ」


俺たちは、ことさらに自分たちの関係を隠していなかった。
別に言いふらしていたわけではないけれど、隠してもいなかった。
大石はちょっと難色を示したけれど、俺は隠したり、こそこそするのは嫌だったから。
大石はそんな俺の気質を知ってるので、何となく合わせてくれていた。
だけど、人に進んでわざわざ言うのはやめような、と釘をさすのは忘れなかった。


「お前たち、ヤってんの?」
「え?」
「セックスさぁ。ヤってんだろ?」

そうして、ニヤニヤ笑って俺の顔に手を伸ばす。
「お前、結構可愛い顔してるもんな。大石も興奮するんだろうな」

その瞬間、俺はやっとに理解した。
こいつらの考えてること。
俺が大変にバカだったこと。

途端に、3人が俺を羽交い絞めにした。
俺は暴れたけれど、恐怖のあまり、思うように身体が動かなかった。
瞬時に出口に向かって走れば、こいつらに追いつかれることなく出口まで先に
たどり着けたはずだったが、初めて体験する恐怖が、俺の身を一瞬すくまた。
それが命取りになった。

「やっ・・・何するんだよ!」
俺は叫んだつもりだったが、声はかすれて弱々しかった。


俺は男だし、強姦されるという身の危険が自分にふりかかってくることなんて
今まで考えてもいなかった。
大石に抱かれていても、それは大石だからであって、
他の男の情欲の対象になることなど、考えてもみなかったのだ。


俺は恐怖のあまりに身がすくんでいた。
身体がいたずらにブルブル震えた。
けれどもそれだけだった。

「大人しくしてりゃ、気持ちよくさせてやるからさぁ」
「お前、コレ好きなんだろ?」
「いーじゃねーか、一人だけなんて勿体ないぜ」
「試してみろよ、俺たちのもさ」
「ヨくしてやるからさ」
「そーだよ、あんなカタブツよりもテクニックあるぜ」

3人が口々に言う。
俺はその言葉を理解できなかった。
ただ恐怖に震えた。

そいつらは俺をおさえつけて、学生ズボンを剥ぐ。
俺は少しくもがいたが、3人の男、しかも内2人はラグビー部の屈強な男子とあっては、
その抵抗も虚しいものだった。

「やっ、やだ・・・」
俺はかすれた声を振り絞った。
「やだ・・・やだやだやだ」

机の上に、仰向けに両手両足を開かれたまま両側から固定された。

「俺からな」
「ずりー!」
「いいじゃねーか、俺が発案者なんだからよ」
野卑な笑いを浮かべて、ラグビー部ではない1人が俺の股の間に立つ。
そしてカチャカチャという音が響き、突然アナルに激痛が走った。

「いっ・・・」
声にならなかった。
ただ息が詰まった。

「かてーな、おい、力抜けよ」
そうして俺の太腿の裏側をぴたぴたと叩く。
「大好きなの入れてやっからよ」
「大石のより大きいかもしれないぜ?」



大石。

大石。

大石。大石。

俺は、大石の顔を突然思い出した。

「お・・・大石・・・」
いつも俺の頬を撫でて、優しくさすりながら、大石はゆっくり入ってくる。

『英二、痛くないか』
『英二、好きだよ』
『英二、かわいいよ』
『英二』


違う。
こんなのセックスじゃない。
こんなの違う。
嫌だ。
嫌だ嫌だ嫌だ。



「おおいしぃっ!!」
俺はやっと大声を出した。
「おおいし、おおいし!!」
俺はもがいて大石の名を叫んだ。


「ばーか、呼んだって大石はこねーよ」
にやにやと笑う男たち。
「もう帰っちまったんだろ?」


そうだ、俺が帰らせた。
優しい顔で俺に微笑みかけた大石を、俺ははねつけた。
大石は来ないんだ。
大石は、もう俺のことなんて嫌いになっちゃったんだ。


ふ、と力が抜けた瞬間、男のペニスがずぶずぶと侵入してきた。
「ぎゃあああっっ!!」
焼けつく痛みに絶叫する。
痛い。
痛いなんてものじゃない。
身体が裂けそうだ。

「ほおら、入っちまったぜ、根元まで一気に」
「どうよ、中」
「あー、まぁまぁってところかな。もっとガバガバかと思ったけどな」

げらげら笑う男たちの声が頭上をぐるぐるまわる。
俺は今にも気を失いそうだった。
それくらい痛かった。
アナルの入り口が引きつれて、ペニスにひきずられてぱつぱつに皮膚が張っていた。

「やめろよ!もうやだぁ!やめてぇっ!」
「すぐヨくしてやっからさ。ほらっ」
そう言うと、そいつは腰をがくがく動かしだした。

「ぎゃぁああああ!!」
俺は再び絶叫した。
泣いているつもりもないのに、涙がこめかみを伝う。



大石、大石、大石。
俺はただ大石の名を心の中で呼び続けた。

助けて、助けて、大石。
腕に抱きしめて、こんなのウソだって言って。
大石、大石。




薄れ行く意識の中。
突然、轟音がした。


誰かが叫んだ。
ずるっと突然アナルの圧迫感がなくなる。
ヒリヒリする冷たさにとって変わる。


あとは悲鳴が聞こえるだけ。
そして断続的な鈍い音。
俺は意識を手放した。






「英二」
声で目をあけると、大石が開け放たれたドアの前に立っていた。
白いシャツが血で染まっていた。
その優しい手も血まみれで。

そうして、3人の男は、もうそこにはいなかった。


俺はゆるゆると身を起こした。
肛門が痛かった。
身体中がきしんだ。

そして、その痛みが俺に先ほどの恐怖を思い出させた。


俺はぼろぼろと涙をこぼした。
大石のところによろよろとよろめき歩いていった。


そして、腕を伸ばした瞬間。
ばし、と炸裂音がした。

俺は横にふっとび、倒れた。

何が起こっているのか分からなかった。



見上げた大石は鬼のような形相で仁王立ちをして、俺を冷ややかに見下ろしていた。

「何故生きてるんだ、お前?」

信じられない言葉が耳につきささる。

「何故死ななかった」

冷たいリノリウムの床を音も立てずに歩く。
こちらにゆっくり近づいてくる。
そうしてしゃがみこむと、倒れて両手を床についている俺の顎をわしづかみにする。

「どうして舌を噛み切って死ななかったんだ」


顎が割れそうに痛かった。
頭も割れそうに痛かった。


「ええ?」
そうして掴んだ俺の顎をがくがくと揺さぶる。


「お・・・おおいし、ごめんなさい・・・」
俺は謝ったけれど、それは何に対して謝ったのだろうか。
自分でもわからなかった。

嘘をついたことか。
ひどい言い方をしたことか。
他の男に抱かれたことか。
生き恥をさらしていることか。

それともこうして大石を求めていることか。

もう俺には分からなかった。


大石は瞬き一つしない。
その黒い目で冷ややかに俺を見下す。

俺は下半身丸出しで、股間から血を流して、床にべっちゃり座り込んでいる。
大石に顎をつかまれて。
大石に揺さぶられて。

「恥ずかしいと思わないのか、英二?」
静かに言いながらも、俺の顎が割れそうなほどの力で顎をぎりぎりと締め上げる。
「恥ずかしいと思わないのかと聞いているんだ」

顎を蹂躙されて、うまく言葉にならないながらも、俺は彼の名を呼ぶ。
「おおいし・・・おれ、おれ、だけど・・・」

ぱっと顎から手が離れたと思った瞬間、また平手打ちが飛んだ。
俺は軽く悲鳴をあげる。

「だけど、何だ」
倒れた俺の腕をむんずと掴んで向き直らせる。
両肩を掴んでガクガク揺さぶる。

激情に任せたような行為と、冷徹な顔と声。


「ご、ごめんなさい、おおいし、ごめんなさい」

「だけど、仕方がないのか。仕方がない、で済ませられるのか。
お前にとってはその程度のことなのか。薄汚れることも、仕方がないことの内なのか」


俺に言ってるのではなかったのかもしれない。
大石は囁くように静かにひっそり呟きながら、俺の胸のボタンを外す。
上から2つをはずしたところで、突然両手を懐に入れて引き裂くようにシャツの前をはだける。
ボタンがぷつぷつと弾け飛んだ。
静かに、弾け飛んだ。
大石の言葉のように。
静かで、激しい。


シャツの襟首の後ろ側に手を入れて、ぐいっとひきずり下ろす。
素っ裸にされて床にへたりこんだ俺を大石は立ち上がって見下ろす。
呆然と見上げた大石の顔からは表情は読み取れない。


かちゃ、と静かな音がして、大石のズボンがすとん、と落ちる。
バックルがズボンのボタンにあたる音が静かだ。
たまらなく静かだった。

「お、おおいし、ごめんなさい・・・ごめんなさい」
俺はそういいながら、大石の股間に手を伸ばす。
トランクスの下で、大石は既に首をもたげていた。
俺はそれに手を這わせる。


どうして大石があんなに欲しかったのだろう。
大石に抱かれれば、自分の功罪が消えるとでも思ったのだろうか。
俺は分からない。
何も分からない。
何もかもがぼんやりしていた。
今起こっていることも。
さっき起こったことも。
今まで大石と過ごした時間までも。


「おおいし、ゆるして、ごめんなさい。ゆるして」
俺はそう呟きながらも、トランクスの上から大石を愛撫した。
すっかり勃起した大石は、それでも冷ややかに俺を眺める。

「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」
だけど、それはもう言葉にならない。
大石のペニスを口いっぱいに頬張った俺の言葉は、もう言語の形をとらない。
それでも俺はくぐもった声をあげ続けた。
そして、大石のペニスをべちゃべちゃと舐め続けた。


「淫猥な顔だ」
大石は俺の前髪をぐしゃっと掴んで、俺の顔をあげさせる。
俺はそれでも大石が欲しくてたまらない。
口を大石から離さない。
「こんな顔ばかりするからだ」

大石はぐっと腰をひいて俺の口からペニスを引き抜いた。
俺の目が大石のペニスを物欲しそうに追う、その次の瞬間にはまた頬を張られて吹っ飛んだ。


横倒しになった俺の身体を大石は床にうつ伏せに組み伏せる。
俺の腕を背中にねじ上げて、侵入してきた。


俺の身体は痛みと快楽に震える。
その二つは非常に近いところにあった。
もう少し手を伸ばせば届くほどの近くにあった。


「ごめんなさい、ごめんなさい」
俺は泣き喚いた。

大石は俺の髪をわしづかみにして、後ろからぐいぐいひっぱる。
喉が空をあおぎ、俺は絶望的にのけぞる形になる。
「ごめんなさい、大石、ごめんなさい」


こんな淫猥な俺をゆるして。
こんなに感じる俺をゆるして。
痛みを快楽に変える俺をゆるして。


「ごめんなさい、大石、イイ、イイ、ごめんなさい、ゆるして」

髪が抜けてもいい。
もっと掴んで、ひきまわして。

先刻割られたアナルの肉が更に邂逅を広げる。
大石が押し入るたびに広がる。
それもいい。
それでもいい。


「ああ、大石、大石、ごめんなさい。ゆるして。ごめんなさい」
俺はひいひい泣いた。
大石は馬の手綱を取るように、腰の動きにあわせて俺の髪を引く。


突然、頭皮の緊張が解かれた。
俺はバランスを失い、前のめりに倒れる。

「や・・・」

両腕を後ろに蹂躙されて、また揺さぶられる。
その腰の動きがあまりに激しくて、俺は鎖骨から身体がぽく、っと外れそうになる。
だけど喘ぐ。

「おおいし、おおいしぃ、ごめんなさい。ごめんなさい。イイ。イイ、おおいし、
ごめんなさい、イイよぉ、ああ、イイ」

俺は気が狂ったみたいに泣き喚いた。

彼の赦しを懇願し、彼のペニスを懇願した。
彼の赦しを懇願し、彼の陵辱を懇願した。



そうして、今度は体位を変えて突き上げられる。
片足を高々と持ち上げられて、もう片方の足を大石の股に組み敷かれて、俺は再び揺すられる。

大きく開かれた股が裂けそうだった。
持ち上げられた太腿に食い込む大石の指が、皮膚を突き破って肉に突き刺さりそうだった。


「痛いよぉ、大石、痛い、痛い、イイ、ゆるして、イイ、ああ、いたい、ううっ、イイ」


痛みと快楽は完全に手をつないだ。

大石は俺の悶える顔を、時折平手で打った。
俺はそのたびに震えた。
痛みと快楽に震えた。

大石は何も言わずに、俺を辱めて、俺を打った。
冷たい目で俺を見下して、頬を張る。

張られる毎に一つずつ天国への階段を昇る俺を見る。



「ああ、イく、イく、ご、ごめんなさい、おおいし、おれ、イく、
ご・・・ごめんなさい、ごめんなさい」
俺はもう限界だった。
口を開閉させて、空気を体内に取り込もうとした瞬間、俺の喉は塞き止められる。


ふあ、と唇が動いたけれど、それだけだった。
俺は大石に喉を絞められていた。

大石の唇が動く。


「そんな顔をしたのか、英二」
大石は冷たい顔で俺を正面から見据える。
「あいつらにそんな顔を見せたのか」


俺の身体を貫通したままで、大石は俺の喉をぎりぎりと両手で絞める。
そうして腰を動かし続ける。
腰が奥に沈められる毎に、掌に力がこもる。

息が苦しい。
それ以上に、顔がビリビリ痺れて二倍くらいに膨らんだ感覚が苦しい。
顔の表面の毛細血管が全て浮き出て破れてしまいそうな感覚。
苦しい。
身体が苦しい。

「英二、英二」
大石はうわごとのように俺の名を呼んで、腰をうちつける。
「えいじ、え・・・いじ・・・」

大石は泣いていた。
無機質に歪められた顔を涙が伝って、顎に大きな水滴が出来る。

意識が朦朧としてくる。
視界がぼやける。
だけど、俺の首から下は、快楽を貪り続ける。

喘ぎ声も出ない。
股間から下腹部、下腹部から臍、臍から乳首、乳首から大石に締め上げられている喉まで、
何かの通り道ができたように感じた。
そして、その通り道は、途中でブツブツ途切れている。
俺は、それをつなげる鍵を探して、水面に口を出した魚のように喘ぐ。
声も出ない。
だけれど、俺の口は喘ぐ。

「えいじ、えいじ」
大石の腰の動きにあわせて、顎の水滴がゆらゆら揺れる。
大きくなりながら。

それが落ちるのを俺は見た。
その瞬間を見た。



大石の執着のカタチを俺は見た。



カーテンの隙間から漏れ入る光を受けた丸い水滴が
俺の臍の上に落ちた。



その瞬間、全身の通り道が?がった。
繋がり、広がる、快楽の抜け道。


せりあがる。
くる。
なにか、すごいものがくる。

喘ぎ声も出ない。
顔が痺れる。
意識が朦朧とする。


だけれど、俺は絶頂を迎えた。


喘ぐ、という言葉の意味を理解した。
声も出せずに俺は喘いだ。


そうして俺の身体は痙攣した。
まるで末期の人間のように。





薄れゆく意識の中で聞こえる大石の声。
罪を贖え。




俺たちは愚かな血と肉だ。



贖え。



ああ、どうか。
赦しを。



この血と肉にどうか。


どうかどうか。