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EROTICA TOKYO
トーキョーシティーはエロチックだ 地方の人などに言わせると、トーキョーは画一的で無味乾燥で 薄っぺらで浅はかな街のようだけど トーキョーは色んな顔を持っている 場所によっても、時間によっても違う顔を見せる都市 トーキョーと聞いて思い浮かべるのは何処だろう 丸の内のオフィス街か 霞ヶ関の高層ビル街か 歌舞伎町の歓楽街か 渋谷の盛り場か 夜になると無人になるオフィス街 作り物のトーキョーの表の顔 昼も夜も薄っぺらで、そこで何が行われているのか 一目瞭然の歓楽街 トーキョーの空は今日も明るい 夜になれば月が見えるだろう だけれど鴬谷、日暮里あたりのトーキョー あのあたりは空の色まで違う 僕たちはお日様まで見失う 僕たちはお月様まで見失う そもそも月はどちらから昇るのか? トーキョーシティーは住みにくいと彼は笑う 物価は高いし、どこも混んでるし、最悪だよ、と笑う できれば出ていきたいな 大人になったら出ていきたい だけど、彼はトーキョーでしか生きられない トーキョーの空の下でしか泳げない 曖昧で優しくて冷徹で淫猥な男 トーキョーにお似合いの淫らな男 エロチカ・トーキョー 風呂に入っていた。 うちの風呂は、少し前の改築で新しくなった。 家族が多く、子供も多かったから、無駄に広かった。 父親の「子供と一緒に風呂に入りたい」という希望の為に、やたらと風呂場に 面積を取った造りをしていた我が家。 だけど、もう子供たちも大きくなって、無駄に広い風呂は意味がなくなった。 むしろ、今後襲って繰る老人との問題には、もうちょっと狭くして、 手すりをつけるのがいいのではと母親が提案した。 要するに、母親は、広い風呂場にスペースを取られて狭くなった洗面所を 何とかしたいと願っていたのだろう。 あの洗面所は朝には戦場と化す。 時間と戦いながら会社やら学校やらに出て行く奴が、一家に7人。 混まないわけがない。 新しくした風呂は、大きな鏡がついていて、全身が映るようになっている。 俺は頭、身体を泡だらけにして洗って、シャワーで流した。 ついでに曇った鏡にもシャワーをひっかけた。 そうしたら、目に入る俺の身体。 「乳首でかくねぇ?」 俺は鏡に映った自分の姿に思わず呟く。 こんなにでかかったっけ。 大石の目を思い出した。 大石の黒目がちの垂れた大きな目。 よく似ている、俺の乳首と大石の目。 大石が吸ったから、大石に似てきてんのかな。 飼い犬が飼い主に似るみたいに。 って、俺は大石の犬かよ。 だけど、俺は妙に興奮した。 鏡に手をついて、俺の乳首を眺める。 唇が大石を呼んで、俺は勃起した。 鏡のあるところでセックスしたくなった。 俺の乳首に吸い付いてる大石の顔をもっと見たくなった。 垂れ目の大石が、垂れた乳首にむしゃぶりつくのを見たくなった。 「鏡?」 一緒に帰るのを待ってる俺。 鞄にものをしまっている手を止めて、すっとんきょうな声を出す大石。 「うん、鏡張りのラブホに行きたい」 「変なこと考えるな、恥ずかしくないのか」 「恥ずかしいって何が」 「自分の身体が映るんだぞ。英二、ナルシストの気もあるのか?」 「俺が見たいのは大石なの」 「いつも見てるだろ」 どうにもこの男は。 「だ、か、ら!いつも見られない顔が見たいってことなの!」 「よくわかんないけど」 大石は最後のノートをカバンにしまいこんで言う。 「じゃあ今度の土曜な」 日曜日の朝は朝練がないから。 俺たちのお泊りはたいてい土曜日に指定される。 俺は大石の家に泊まる、大石は俺の家に泊まる。 それが言い訳。 ホントはラブホに行く。 家でもセックスはできるけど、声が出せないから。 大石は俺の口に優しい手を当てて、俺はその掌をよだれで濡らす。 そうして大石の指を噛んで達する。 大石の指に消えない痣があるのはそういうわけ。 だから時々ホテルでセックスをする。 お金と時間次第で、俺たちはホテルで放埓なセックスをする。 「探しておく」 大石は校門をくぐり抜ける時に請合った。 「鏡張りの部屋」 たまにはこんな感じでどう、 と大石が俺を連れて行ったのは、鶯谷にあるホテル。 ホテルというよりは、むしろ連れ込み宿、という佇まい。 「いいでしょ、淫猥で」 客引きの外国人の横をすり抜けながら笑う。 その外国女は、英語ではない、異国の言葉を話していた。 スペイン語でしょ、と大石は言う。 中南米からの出稼ぎだよ、と。 金髪は染めた結果のものだろう。 髪の根元の方はこげ茶色をしている。 その中途半端なグラデーションは見るに耐えなかった。 貧困とだらしなさが中途半端に混じりあっているその匂いから俺は目を背けた。 部屋に入ると、そこは本当に鏡張りだった。 「うわー、これすごいね」 「うん、想像以上の鏡張りだ」 入って右側に入り口のほうに枕を向けたベッド。 そのベッドを囲む三方が一面の鏡になっている。 「俺、ちょっと違うの想像してた」 「うん、俺もこんなのとは思わなかった」 ホテルの匂いはいつでも俺たちを興奮させる。 嘘っぽいリネンの香り。 俺は着替えやら何やらを詰め込んだカバンをおろすのと 殆ど同時にシャツを脱いで、大石の首に腕をまわす。 裸の胸に大石のシャツの目地がこすれる。 この感覚が好きだ。 俺だけ裸になるのも好きだ。 恥ずかしいけれど、大好きだ。 俺たちは飯も食ってないのに、さっさとベッドにのぼる。 あとはヤるだけ。 疲れたら少し眠って、そしてまたヤるだけ。 「大石、今日ね」 「うん?」 「お乳いっぱい吸って欲しい」 「これ?」 ちょん、とつつく。 俺はそれだけで震える。 大石に開発された身体。 大石にえっちにされた身体。 「ん。吸って」 「えっち」 くすくす笑う。 俺は大石の頭を抱え込んで、自分の胸に近づける。 ふ、と生暖かい息が乳首にかかる。 ぞわぞわする。 「舐めてほしいの」 「うん、舐めて、吸って欲しい」 いつからそんなにいやらしくなったんだ?と笑いながら 俺の乳首を爪ではじく。 ちりっとするかすかな痛みと、ちくちくする痒みと、脳天まで走る快感。 「んっ」 「英二、見て、自分の顔」 大石は俺を後ろに向かせて、背後から手を回す。 「ほら、いやらしい顔」 ベッドの横面の一面の鏡に俺たちが映ってる。 ほっぺがピンクになった俺と、後ろから手を回して笑う大石。 「ね、こうするでしょ」 後ろからまわした手で右の乳首をぴん、とはじく。 「あっ」 声が漏れる。 どうしようもなく感じる。 「ねぇ、英二、いやらしい」 左の乳首を中指の腹で、触るか触らないかのところをさする。 「ふ…っ、ああ…」 俺は身悶える。 もっと触って欲しい。 もっといじって欲しい。 俺は身をよじって悶える。 この身体の動きは、大石を助ける。 彼は俺の服を次々に剥いでいく。 ジーンズをズリ下ろし、パンツをズリ下ろし、 俺はどんどん彼に剥かれていく。 彼はまだ服を着たままなのに 俺はついに素っ裸になっている。 「自分の顔見て」 俺の顎をつかんで、あげさせる。 「ほら、いやらしい顔。かわいい顔」 鏡の向こうの俺は、本当に淫らな顔をしていた。 こりゃあ犯罪だろう、と少し冷静な頭の隅で思うくらい。 顔面に「欲しいです」って書いてある顔。 だらしなく開いた濡れた唇。 朱に染まった頬。 潤んだ目。 膨らんだ小鼻。 「あ…俺…」 思わず鏡に手をあてて、自分の顔を見た。 「英二、いつもそんな顔してるよ」 くすくす笑う大石は、真っ白な、冷たい顔。 「いつもそんな顔して悦んでるよ」 そうして大石は後ろから俺の首をべちょっと舐める。 「あっ…はぁっ…」 すごい声が出る。 いつもよりも大きな声。 家でセックスする時には声を抑えてるから、ホテルでは声を出すけれど。 でも、そんな時よりも大きな声が出る。 大石は俺の首から背中に舌をのばしていく。 肩甲骨の裏、俺の感じるところをしつこいくらいに舐める。 俺はちょっと前のめりになる。 鏡に映る俺の顔が大きく見える。 「ああん、あ、あ、あああ」 俺は鏡にへばりついて声を出し続けた。 もうペニスはぱんぱんに張っていた。 たまらなくなって、股をすり合わせる。 これは約束。 大石と俺との約束。 俺は大石の許しが出るまで、ペニスに触れない。 ペニスだけじゃない。 自分の身体に触れない。 俺のペニスはぱつぱつで、先からヨダレを垂らしていて。 俺の乳首はぴんぴんで、先が痛いくらいに大石を欲しがってる。 「お、おおいし、おおいし、お願い、触って、俺のこと触って」 大石はそれでも触ってくれない。 俺は壁のほうにずりずりと寄っていく。 背中から走る快楽と、身体の前方の物欲しさの為。 「あっ、ああ、あああ」 俺は鏡に自分の乳首を擦り付ける。 熱くなったそれに、冷たい鏡面が刺激を与える。 「何やってるんだ、英二?」 大石は俺の背中から唇を離して、唇の片端で笑う。 「いやらしい格好だな」 くすくす笑って、俺から身体を離して、枕を背に身体を斜めに横たえる。 「いい眺めだ」 言葉でも弄られて、それでも俺は止められなかった。 顔を下に向けると、鏡で乳首が歪んで捻れている。 湿気をおびた乳首は鏡に吸い付いて、俺が身を擦り付けて悶える度に 鏡面と摩擦を起こして、吸い付きながら身を捩って音をたてる。 きゅ、きゅ、きゅ。 「ああああっ、あっ」 俺の異様な声。 「大石ぃ、大石、大石。触って。俺に触って。お願い、こんなことさせないで」 それでも俺は鏡に身体を一層擦り付ける。 乳首も、ペニスも。 「あぅうううう、あ、ああ」 夢中で身を捩っていると、突然後ろから腹に腕がまわり、俺は鏡から引き剥がされる。 白いシャツをまだ着たままの腕は 俺の裸の胸をこすり、俺はその為に震える。 俺のペニスは空しく宙をつかむ。 「あ、や、やだ、ああ、もっと、お願い」 俺は大石の腕を振り払って鏡面に這いずって行こうとする。 大石は俺の腹にまわした腕に力を入れて、反対側の腕で指し示す。 「鏡にカタツムリが歩いたみたいな跡」 くすくす笑う。 見ると、鏡面に粘液の伝った痕跡。 俺のペニスから出た汁が鏡になすりついていた。 「だって、だって、大石が触ってくれないから」 「触って欲しいの」 俺は首を縦にこくこく振る。 「うん、欲しい。触って」 大石に後ろから抱えられて、俺は後ろ向きに大石によりかかる。 後頭部が大石のシャツを着たままの胸に、 背中が大石のジーンズを履いたままの股間に当たる。 「綺麗に掃除して、あれ。そしたら触ってあげるから」 俺は身を起こして、枕もとのティッシュを手にしようとした。 大石はそれを制して、笑う。 「違うでしょ。自分の身体で汚したんだから、自分の舌でキレイにするんだよ」 「な、舐めるの」 「そう、あの位置だと四つんばいになるのがいいかな。ねぇ?」 ニヤニヤ笑う。 俺は立てひざをついて鏡に股間を擦り付けていたから、位置としては 確かに四つんばいになって舐めるのに好都合ではあったけれど。 「だって、お尻とか、丸見えになっちゃうよ」 「今更何言ってるんだよ」 大きな口を開けて上を向いて笑う彼。 そうして俺を辱める。 俺は観念して、鏡に向かって四つんばいになって舌を鏡につける。 少ししょっぱい俺の汁。 冷たい鏡からぺろぺろ舐め取っていく。 大石は俺がそうしている間、一度だけお尻を撫でた。 それが俺に余計に恥ずかしさを覚えさせる。 舐めとって、顔を上げた。 鏡に大きく映る俺の顔は羞恥と興奮の為に、真っ赤になっていた。 「綺麗にしたよ」 ぽっつりつぶやく。 あとの言葉は飲み込む。 だから、触って。 「いい子だ」 さっきと同じように、枕を背にした大石は笑う。 「おいで、触ってあげるから」 指をくいくいと曲げて、俺を呼び寄せる。 「あのね、あのね、舐めて。俺のお乳、舐めて」 俺は乳首に触ると怒られるので、その周りの胸筋を手のひらで揉む。 「舐めて欲しいの」 「うん、うん。舐めて。いっぱい舐めて吸って」 「口のところまで持っておいで」 くすくす笑う。 俺は斜めに横たわる大石の胸の上にまたがって、 枕元に手をついて、大石の口の前に乳首を差し出す。 「お願いは?」 「お願いします。舐めて、吸ってください」 俺は大石のいやらしい形をした唇に、自分の乳首を擦り付けて懇願する。 「何を」 「これぇ、これ、舐めて」 「わかんないな」 大石が唇を動かすたびに、俺の乳首にさらさら当たる。 俺はそのたびに、身体が震える。 「何をどうして欲しいか、ちゃんとお願いして」 「お願い、おおいし、イジワルしないで」 「お願いは?」 大石はそう言いながら、わざと大きく息をして、俺の乳首を刺激する。 俺はもうたまらなくなって叫ぶ。 「お、お願いです。お乳、吸って、しゃぶって下さい」 途端、俺の身体に電気が走る。 「ひゃあああぅうう!」 大石の唇が俺の乳首を咥えた。 ちゅ、ちゅ、ちゅ。 唇の先でつまんでは離す。 音がする。 ちゅ、ちゅ。 「あっ、ああ…」 俺は思わずのけぞる。 その動きで、大石の口からちゅぷ、と乳首が離れる。 「あ…や…」 俺は必死でまた大石の口に乳首を押し込む。 ちゅ、ちゅ、優しい音。 でも俺が今求めているのは、そんな優しい音じゃない。 もっと淫らで、もっと激しい音。 ねぶって、俺の。 「お、おおいし、ね、もっとして、お願い」 俺は大石の唇に胸をぐいぐい当てる。 大石はちらっと目をあげて、手を伸ばす。 俺の顎をつかんで、横を向かせる。 向いた方向には、また鏡。 「や…」 俺は顔を背けた。 そこにいたのは、快楽を求めて必死になってる動物。 服を着たままの恋人に馬乗りになって、自分から胸を差し出して、 求めているいやらしい俺。 「見て、ちゃんと」 大石は俺の乳首を親指でくいくい押し上げて、ひねり潰す。 「これが英二だよ」 「あ、俺、俺…やらしい。や、だ。こんなの」 「いやならやめるか」 くすくす。 「や、やめないよぉ・・・やめられないよ」 「ふうん?」 くすくす。 くすくす。 「いやらしくて可愛い子だ。ご褒美だよ」 そして、俺は見た。 大石の唇がまくれあがって、俺の乳首に吸いつくさまを。 すごくいやらしい顔だった。 大石の綺麗な唇がぶにょ、ってまくれて、俺のお乳に吸い付いてた。 鏡で見ると、本当に吸い付いていた。 今まで上からしか見たことがなかったけど、横から見ると、下唇もまくれて、 すごくいやらしい顔をしてた。 大石ってステキ、俺はそう思った。 べちょべちょ、いやらしい音が聞こえてくる。 大石は口をぐもぐも、と動かしている。 鏡で見る大石の頬が動くたび、俺のおへそに電気が走る。 俺のお乳は大石のあのいやらしい口の中で、もてあそばれてる。 「おおいし、ステキ。すごいよ。気持ちいい」 俺はうわごとのように呟いた。 「おおいし、おおいし、すごい、すごい」 大石は唇を収縮させて、俺の乳首をねぶる。 ねちょ、という音がする。 大石の卑猥な唇と、俺の卑猥な肌の触れ合う音。 「おおいし、おおいし」 俺は大石の頭を胸に抱えた。 淫猥な俺の男の頭をかき抱いた。 そして、俺はどうしようもなく勃起したペニスを大石の腹に擦り付ける。 「あ、おおいし、イくぅ」 大石の顔はすごくステキだった。 顔を見てるだけでご馳走様なくらい卑猥な顔だった。 俺は、ちょっとペニスを擦られたらもうあっという間にイけるくらいに興奮していた。 だけど、それも勿体無いと思うくらいだった。 「おおいし、おおいしぃ」 この瞬間が永遠だったらいいのにと思うほどの快楽。 大石の前歯が時折乳首を削る。 その軽い痛みも俺を震わせる。 ちゅぱ、と音をたてて唇を離す。 大石は俺をいつも音で辱める。 「あん…」 ねぇ、俺、女みたいじゃない。 「胸が苦しい」 とても冷静に言う。 そうして俺を貶める。 「だって…」 俺は大石を抱きしめた腕の力を緩める。 「英二、ガチガチじゃないか」 くすくす笑う。 そうして、俺の手をとって、自分をつかませる。 大石は全く勃起していない。 彼はいつもこうだ。 なかなか勃起しない。 俺では興奮できないとでも言わんばかりに。 「どうする?」 忍び笑いも憎らしい。 「あ、あのね、でも俺、もう…」 「イきたいのか」 俺は羞恥に震える。 勃起していない大石。 ガチガチになって、先からあふれ出しそうな俺。 くすくす笑って俺のペニスの先を親指と中指で軽くつまむ。 「これもしゃぶるか?それとも尻の穴か?」 「おねがい、お願い、両方欲しいよ。両方して」 「それはちょっと欲張りだな」 大石は枕もとのボトルを手にする。 「どっちかは自分でするといい」 俺は大石からローションのボトルをとる。 「おれ、自分でほぐすから。だから大石、ちんちんしゃぶって」 大石のフェラチオはすごくイイ。 しかも滅多にしてくれないから、してくれると言った時には迷わず俺は舐めてもらう。 大石の口の中は生暖かくて、ねっとりして、すごく気持ちいい。 やんわりと包まれたと思うと、大石の舌が尿道を割る。 俺はそれだけでいつもすぐに射精してしまう。 大石がペニスを咥えた顔も好きだ。 品のいい大石の顔が途端に堕ちる。 ペニスを咥えた途端、絶望的に淫らな顔になる。 実はこんな淫らな顔立ちをしてたことに驚かされる。 思えばこいつはいやらしい顔をしているのだ。 黒くて大きな目が垂れてて、下まつげが長くて、すらっとした鼻の下はすごく短くて、 上唇が少しだけめくれている。 いやらしい顔の男。 淫らがましい顔の男。 こいつがいつもそんな風に感じさせないのは、聡明そうな額のせいだと思う。 実際、前髪を下ろすと印象ががらりと変わる。 「口のところまでもっておいで」 大石は舌をべろん、と出してその裏側で自分の下唇を湿す。 いやらしい男。 俺のこと、夢中にさせるいやらしい男。 ずるい男。 「舐めて、ね、中に入れて」 俺は焦る。 立膝をして、枕を背にした大石の顔の前にペニスを捧げる。 大石はそれをちょん、とはじく。 「お尻は」 「いいから、ね、お願い口に入れて」 もう中に入れたくて仕方がない。 大石の真っ赤なの口の中。 「しないのか、お尻は」 「ねぇ、お願い。入れてよぉ」 ちり、と大石の指がアナルに触れる。 「うん?」 顎をしゃくりあげて笑う。 これは命令。 俺の意思を聞いているのではない。 お尻をほじらないと、俺は舐めて貰えないことを知る。 手に持ったままのボトルの蓋をまわす。 焦るから、うまく回らない。 力を入れると、急にくるっとまわって、蓋が落ちた。 「拾って」 大石は冷たく言う。 俺はへどもどする。 みっともないくらいへどもどして蓋を拾い上げる。 ボトルの口を下に向けると、中の液体が揺らぐ。 ゆらゆら。 ボトルの内側を舐めるように滑り落ちてくる様がもどかしい。 俺は手に落としたゼリーを指になじませるようにこする。 そうして、自分の背後から腕をまわして、アナルに手をのばす。 「ふぅ…っ…」 ぬるぬるになった中指は、あっという間に根元まで埋まってしまう。 「おおいし、ねぇ、ほら、してるよ、俺、ちゃんとしてるから」 だから、ねぇ、おちんちん舐めて。 「うん、見えてるよ、可愛いな」 大石は鏡越しに俺の自慰を眺める。 「もっとかきまわしてごらん」 こぽ、と音がする。 円を書くように回した指とアナルの間に隙間ができる。 こぽ、こぽ。 「空気が入ってるじゃないか」 くすくす笑う。 「だいぶゆるくなったからな」 「お、俺の、ゆるい?大石、もう気持ちよくない?」 俺は不安になる。 そもそも大石は入れてから射精までの時間が長い。 俺は他のやつらの事は知らないけれど、それにしても長い。 俺のはよくないんだろうか。 大石は答えない。 手を伸ばして、俺のアナルにつきたてた手をつかんで、ぐりぐりと動かす。 どうして。 どうしてこんなに感じるんだろう。 自分の手なのに、大石の意思が加わると、どうして。 「ああああっ、大石、ダメ、そんなに動かしたらダメ」 「すごい音だな、英二」 こぽこぽという音は、ぐぼぐぼという音にすりかわる。 ぶじゅぶじゅ言う俺のアナルは、掻き回されるたびに呼吸をする。 掻き回される毎にいやらしく喘ぐ。 「ひゃっ…いや、ああ、だめ。イく、イっちゃう」 「ふうん…?」 鼻で笑う。 「やだよぉ、大石、舐めて、ねぇ、舐めて、ねぇ、ねぇ、お願い」 俺はペニスの先まで走るむず痒さを必死で押しとどめて叫ぶ。 「おおいし、舐めて、舐めてよぉ。お願い」 ああ、だめだ、限界だと思った瞬間、大石は俺の手を強引にアナルから引き抜く。 「あっ、あ。あ。やだ」 「まだイきたくないんだろう?」 大石は俺の両手をつかんで蹂躙しながらにやにや笑う。 気が狂いそうだった。 大石はすごい力で俺の手首をつかんで離さない。 「お、お願い、イかせて。もう俺、俺、だめ、おかしくなるぅ…」 「なればいいじゃないか」 口を開けて笑う。 真っ赤な口。 そこに入れさせてほしいのに。 俺をそこに入れてほしいのに。 「大石、ねぇ、約束したでしょ。 俺、ちゃんとお尻ほぐしたよ。 ねぇ、入れてよ。舐めてよお」 ローションでベタベタになっていないほうの手で自分のペニスを捧げ持ち その先端を大石の口元に近づける。 本当は手で支える必要なんかなかったのだけれど、 取り繕うように俺はそれを手で支える。 大石は三日月に開いた口からちろっとピンク色の舌を覗かせる。 そして、その舌の裏で自分の下唇を舐める。 粘膜状にてらっと光った唇は、内臓を思わせる。 彼はそれを知っている。 「入れたいの」 ぼそっと訊く。 「うん、入れたい。大石の口の中に入れたい」 すっかり焦らされた俺の亀頭からは涎のように汁が垂れていた。 それが糸を引いて垂れ、彼の白いシャツに水玉を作る。 ようやく彼は薄い唇を開いて、俺の亀頭を唇の裏側で咥えた。 確かにそう思う。 実際、俺はそんなの感じていなかったのかもしれない。 俺は咥えられたと錯覚しただけなのかもしれない。 もう分からない。 俺はそれが錯覚であれ、幻覚であれ、亀頭を上下させて射精した。 「早いな、英二」 大石が自分の口元をぬぐう。 「ご、ごめんなさい・・・」 「早すぎる」 「だって、だって大石が焦らすから・・・」 「だからってこれはひどい」 俺のペニスは上下に首を振りながら3度ほど大きく射精をしたので、 大石の前髪やシャツをすっかり濡らしてしまった。 彼の頬についた精液よりもむしろ、彼の喉仏にまとわりつく白濁した粘液が ふしだらな印象を与えた。 「ごめんなさい・・・」 「もういい」 大石は俺から身を離してベッドから降りる。 俺の身体は急に寒さを感じる。 身体の真ん中に大きな穴が開いたような感覚。 ひゅうひゅうと身体の中まで風が走り抜ける。 いつでもこの寒さには耐えられない。 自分の肩を抱いて震える。 ティッシュを取って、大石は自分をぬぐい、それから服を脱いでいく。 大石の表情は俺からは見えない。 彼は俺に背を向けていたし、彼が顔を向けている方向はこの部屋の中で 唯一壁紙のはってある方だったからだ。 「大石、怒った?怒っちゃった?ごめんなさい。ごめんなさい」 俺はその背中にひっそりと語りかけるけれど、返事はない。 「おおいし、ごめんなさい。ごめんなさい。俺、おれ、なんでもするから」 その声に大石はふっと振り返って笑う。 「英二が何でもするのは分かってるよ」 彼の声は違う響きを含んでいた。 「何でもするんだよな、英二は」 「おいで」 裸になった大石は鏡に向かって、足を大きく開いて正座をする。 「欲しいでしょ。おいで」 俺はふらふらと大石のもとへ這いずり寄る。 身体が自然に動く。 調教されつくした俺。 快楽を教えられて、芸を仕込まれた獣。 「俺、上にまたがっていいの?」 「こうだよ」 大石は俺の腰をつかんで、鏡の方を向かせる。 「後ろ向きに入れるんだよ」 俺は後背位でのセックスがあまり好きではない。 大石の顔が見えないから。 大石を感じていたい。 大石に犯されてる俺を感じていたい。 「英二がどれだけいつもいやらしい顔してるか、ちゃんと自分で見て」 大石は俺の腰をつかんで、自分の股座に引き寄せる。 「おおいしぃ、前からしたいよぉ」 「じゃあやめる?」 そんなこと出来ないってしってるくせに。 俺はもう答えられない。 そして、鏡を向いて、大石に背を見せる。 ぐじゃ、っと大石のペニスが一回アナルの入り口で押しつぶされて、 それからめりめり侵入してくる。 亀頭が入ってしまうと、あとはぬらぬら俺の内壁をこすりあげながら奥まで侵入してくる。 「ああああああぁぁ…」 入ってくるのと同じだけ、長い声が出る。 この肉が押し分けられて、ぐぶぐぶと侵入してくる感覚。 大石に犯されて悦ぶ俺。 ペニス咥えこんだ俺は、もう腰の動きを止められない。 「あっ、あああっ、おーいし、おおいし、おおいし、イイっ、あっ」 ぐちぐちと大石のペニスを自分の身体の中に押し込んで、こねまわすような腰の動きをする。 俺のキモチイイところにあたるように、何度も乱暴なくらいに腰をまわす。 「英二、すごいな」 大石は俺の腰に手を添えて、動きを抑制する。 俺は、その手の力を振り払って腰をまわすことで、いよいよ自分がどれだけ 快楽をむさぼろうとしているのか自覚して、恥ずかしさをおぼえる。 でも、とめられない。 この快楽の波は止められない。 「あっ、あああああっ、あっ、あっ、イくぅ。イく、イく、イく」 絶頂はすぐそこに来ていた。 後頭部を鈍器で殴られたような感覚が襲う。 非常に緩やかだけれど、力強くて粘液質な痛み。 「イくぅ、イく、大石、俺イく。イくよぉ」 「一人で感じてばかりだな、英二は」 「や、やぁ、大石は、大石は」 俺じゃ感じないとでも言わんばかりの言葉。 俺は急に不安になる。 大石の顔が見たくて、正面の鏡を見る。 恥ずかしくて見られなかった鏡を見る。 大石と俺の結合部が丸見えだった。 俺は大股を開いて大石のペニスを咥え込んでいた。 そんなによく見えたのは、俺のペニスが嫌になるほど勃起して、 睾丸までもが上にせりあがっていたからだ。 俺のアナルの皮が大石のペニスにひきずられて伸びていた。 吸い付くように 大石のペニスが見えるたびに俺のアナルがそれにすがる。 「見える、英二?」 大石が俺の首筋を舌と唇で愛撫しながら耳元で囁く。 「英二のいやらしい顔、英二のいやらしい身体、英二のいやらしいアナル」 呪文のように何度も繰り返して囁く。 その言葉の通りに俺はそれらを見る。 鏡越しに。 いやらしい自分を見る。 いやらしい顔 いやらしい身体 いやらしいアナル そしていやらしい唇の動きをするいやらしい男。 俺の背後で耳元で囁くいやらしい男。 一つも腰を動かさない男。 「いやだ、おおいし、おおいし、おれ、おれイく、やだ、おおいし」 俺は余裕なく叫ぶ。 呑み込まれる。 この波に押し上げられて呑み込まれてしまう。 「じゃあ腰振り乱すのを止めたらどうだ」 大石は俺の腰をぐっと掴んで動きを止める。 「なぁ?やめたらいいじゃないか」 「やだっ、やだ、やだぁ」 何が嫌なんだろう。 俺はいつでもこの男に犯されて達する時には、いつでもいやだと叫んでいる。 何が嫌なのか。 一人で何度も頂点までのぼりつめる自分が嫌なのか。 この男が俺の身体をそんなに求めてもいない様子なのが嫌なのか。 先に達することが嫌なのか。 それとも、もっと何度もイかせて欲しいのか。 もっと大きな快楽を与えて欲しいと懇願しているのか。 何が嫌なのか。 「やだ、やだ、大石、おおいし、あっ、いく、いくいくいく、ああああああ」 俺は腰を動かせない状態で中途半端に達してしまった。 だらしない射精をする自分の姿が鏡に映るのを、俺はぼやける視界の奥で捉える。 勃起したペニスの先から、精液がにゅるにゅると出た。 飛び散らないそれは、ただ公園や駅などにある水のみ場の水のように、 上に軽く隆起して下へと流れ落ちた。 「やあ、やだぁ、こんなの、こんなのやだあ」 俺は我知らずペニスの先を掴んだ。 当たり前のことだけれど、射精は止まらなかった。 俺の掌を軽く舐めて、指をつたってシーツへと流れ落ちる。 「だらしない射精だ」 大石はようやく俺の腰を掴んで、彼自身の腰を動かしだす。 とてもゆっくりと、彼の肉棒が俺のひくつく内壁をこすりあげる。 「いやだったのに、イっちゃって」 がつんと突き上げられて、俺は前のめりになって四つんばいになってしまう。 危うく鏡に頭を打ちつけそうになるほどに顔が鏡に近づいた。 「可哀相にな。あんなに嫌がってたのに」 俺の腰を抱え込むようにして、大石はピストン運動をゆっくりと続ける。 「なあ、可愛い英二」 「んっ・・・んん・・・」 俺はまた喘ぎだす。 背中からまわされた手が俺の顎をわしづかみにして鏡を直視させる。 視界いっぱいに、だらしない自分の顔が見える。 何とかこのだらしない顔を引き締めようと頬を歪めるたびに、 大石は意地悪く大きな腰の動きで俺を突き上げる。 小さく、遠くに映っている大石は真剣な顔をしていた。 そして、彼は興奮していた。 俺が彼を視界の端に捉えていることを自覚していなかったのだろうか。 鏡に映った俺の顔を凝視して、時折口をあけて息を漏らした。 そして、彼のため息の度ごと、彼のペニスは俺のアナルを強く押し上げた。 無自覚に俺に見られている彼は、たまらなくエロチックな顔をしていた。 さながら、俺は彼のオナニーを覗き見ているような気分になる。 その背徳に満ちた意識は俺をより酔わせる。 彼を見ていることを気取られないように、俺は視界の端に彼を捉える。 俺のアナルでオナニーをしている彼を見つめる。 そして俺は自分が獣のように喘いでいることも忘れる。 突然、大石は俺の腰をつかんで、仰向けに引き倒した。 「英二、もう出る」 そうして仰向けになった俺は、天井にも鏡があることに初めて気付いた。 大石に組み伏せられた俺のカラダが目に入る。 股を大きく開いて、大石の腰に両足でしがみついている俺の貪欲なカラダ。 「英二、すごい」 大石は俺の中に一気に入る。 「英二、お前、すごくイイよ」 そうして、腰をがつがつ動かす。 天井の鏡に映る、大石の背中、大石の尻。 俺の中に深く入るたびに両側に筋が入る大石の尻。 「おおいし、おおいし」 俺は大石にしがみつく。 「お前を汚したい」 俺の中にぐっと腰を沈めて、大石は俺の唇をむさぼりながら、俺の唇の間に言葉を滑り込ませる。 「お前は俺のものだ」 俺たちはつながったまま、互いの唇をむさぼるようにキスをする。 大石は俺の唇、はぐき、舌をべちょべちょと舐めまわす。 俺は薄目をあけて天井の鏡を見ていた。 大石に組み伏せられている俺。 大石の筋肉の盛り上がった背中。 真ん中に大きな亀裂が入って、腰のところで一度ぽこん、と出ている。 大石は腰骨の一つが飛び出ているから。 それからお尻の割れ目につながっている。 大石のお尻はきゅっとすぼまっていた。 射精をこらえているのが分かった。 お尻の両側に筋が入って、固くなっていた。 俺は、アナルをきゅ、っとすぼめる。 大石は唇を少し離してふ、と笑う。 息が俺の口の中に入る。 「それで責めてるつもりか、英二?」 そうして俺の膝を抱えて、奥までずぶずぶと入ってくる。 「ああああっ…」 大石は俺をがつがつと揺さぶる。 揺さぶりながら笑う。 「お前をイかせるのなんて簡単なんだぞ?」 その通り。 俺はあっという間に頂点目指して駆け上っていく。 「あっ、おおいし、おおいし、いや、だめ、一緒に、おねがい、一緒にきて」 「ホラ、もうイくんだろう?」 そう笑って、ペニスをぎりぎりまで引き出して、ずぐっと一気に突き刺す。 それを何回か繰り返される。 突き上げるような快楽。 だけど、この緩やかすぎるリズムでは俺はイけない。 そして、彼はそれを知っている。 「ひいっ…あ、あ、あ、もう、だめ、だめ、だめ、おおいし、だめ」 「どうして欲しいんだ?」 俺のペニスの先から垂れている汁を人差し指でぬぐい、 それを俺の唇にぬるぬると滑らせる。 「ん?言ってごらん、この可愛い唇で」 「あ…はぁ…お、お願い、して…」 「何を」 唇に薄く塗りたくられた汁はすぐに乾いて、ぱりぱりする。 俺は口を大きく開ける。 そのぱりぱり感が痛い。 「おねがい…して。してぇ」 「ちゃんといいな」 大石はぱりぱりの唇をべろりと舌の腹で舐める。 途端に渇きが潤いへと変わる。 ぬらぬらする。 欲しいのはこの感覚。 乾いた俺に水を与えてくれる感覚。 「して、おねがい、突いて。もっと突いて。奥まで突いて!」 枯渇した俺を通り抜けて、濡れた唇から叫び声が出る。 「いい子だ」 大石は笑うと、俺の腰を抱えて腰を激しく動かしだす。 「ひっ、ああ、あああ、あっ、あっ、イく、あ、くるよぉ、すごい、 すごいよ、おおいし、すごいぃぃっ、イくぅぅぅ!!」 俺は大石の肩に爪をたてて、絶叫しながら痙攣した。 悲鳴に近い喘ぎ声と共に、俺は大石の腹にこすられたペニスから射精をして、達した。 びくん、びくん、と腹筋が波打つ。 俺はぐったりと力を抜いたけれど、腹筋はまだびくびくと緊張の律動を繰り返していた。 そして、アナルもひくひくと収縮を続ける。 「英二、俺、これが大好きだよ」 大石は俺が流した涙を唇でぬぐいながら囁く。 「お前がイったあとでヒクヒク動くのがたまんない」 いやらしい。 そして、大石はペニスをずるりと抜く。 「お前をもっと汚したい」 仰向けになった俺の顔をまたぐ。 「俺で汚したい」 大きなペニスをさする。 「かけるぞ」 びく、と大石のペニスの裏筋が跳ね上がって、俺の視界は白く染まる。 「はぁあ…」 俺は口をできるだけ大きく開ける。 欲しい。 大石のが欲しい。 俺の中に欲しいから。 大量に出た大石の精液は 一部俺の口に入って、あとの殆どは顔中に飛び散った。 「んん、や、こぼれちゃう」 俺は舌をべろん、と出して、口の周りの精液を舐めとる。 「見て、自分の顔」 大石は俺の目のまわりをぬぐう。 目を開けて視界に入った天井の鏡には、顔中に白い粘液をまとわりつかせた俺。 「あ…」 大石の俺。 「綺麗だろ」 大石は俺が鏡を見やすいように身体を脇に寄せて、俺の腹をさする。 「綺麗だよ、英二。俺の英二」 俺の腹には俺の精液。 俺の顔には大石の精液。 笑う君。 三方の鏡に笑う君。 前髪がはらりと落ちて、淫らな顔で笑う君。 エロチックなキミ。 エロチックな街にお似合いのキミ。 エロチカ・トーキョー for she has reminded me of this story. with our best regards and special thanx. |