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いじめて。もっと。
痛くして。いじめて。
キモチイイだけのセックスはイヤなんです。


「英二、こっちは終わったよ。そっちが終わったら帰ろうか」
部誌を書き終わった爽やか副部長は、爽やか笑顔を俺に向ける。
「うん、帰る」
俺は数学のテキストを片付け始める。
大石の手が俺の手にかかる。
「見せてみ」
「やだ」
「終わってないんだろ」
「ちゃんと終わったもん」
「じゃあ見せて」
いつもいつも宿題を忘れる俺の面倒係でもあるこの副部長が、自分が
部誌を書く間、俺に宿題をさせることに決めたのが2週間前。
何しろ中間テストで、俺は何と5教科総合で下から8番目という不名誉な
記録を作ったばかりのことだった。
このままではいくらエスカレーター式とは言え、高校進学が危ぶまれる、と
担任に脅された。そのことを笑いのネタに部室でみんなに話したら、
この生真面目な副部長は青ざめたのだ。
「やん。はずかし・・・」
「ごまかしてもだめ。見せて」
俺のテキスト取り上げてぺらぺらめくる。
「半分も終わってないぞ、英二」
「うー、わかんないんだもん」
「わかるよ」
「大石はわかっても、俺にはわかんないの!」
「わかるように教えるから、終わらせて帰ろう」
大石は椅子に座り込む。
こうなると絶対に終わるまで帰してくれないのを俺はここ2週間でいやというほど
知らされているので、しぶしぶ大石の前に座りなおした。
「ここで止まってるってことは・・・」
テキストを前に教科書をめくる。
真剣な顔の大石。
「英二、これはできる?」
教科書の練習問題を指し示す。
「うー・・・」
俺は一応真剣に考えてるふりだけでもしてみたけど、実のところは
ちんぷんかんぷんだった。
何を聞かれているのか?すら理解できない。
「わかんにゃい」
「じゃあちょっと戻って、これは?」
「わかんない」
「うーん、じゃあ基礎問題のこれ」
「ぜんぜんダメ」
「・・・本当にわかんないの?」
「ホントに全然わかんないだもん!!悪い?」
「・・・こりゃタイヘン」


結局部室を出たのは夜の9時をまわっていた。
「今日も遅くなっちゃったにゃ〜」
「うん、でも宿題が終わったからよかったじゃないか」
「これで明日は大きい顔ができるよ。あてられても怖くないし」
「だろ?だから毎日宿題はやっていこうな」
「う・・・」


今日こそはシたかったのになぁ。
ここ2週間、勉強ばっかりで全然シてない。
こんなに遅くなっちゃったらイカガワシイところにも行けないし、
日曜の午後だって、折角練習が午前中で終わるのに、
それからデートもしないで勉強ばっかりさせられてる。
俺はとぼとぼ大石の後ろから校門を出た。


「ねぇ大石」
「ん?」
「いつまで続くの、こんな生活」
笑う。俺、大石の笑う姿ってすごくスキだ。だけど今日は鬼に見える。
「英二が自分で完璧に宿題ができるようになるまで」
「ええっ!!」
そりゃまだまだ先の話になりそうだ。1ヶ月、いや、2,3ヶ月はかかる。
そんなに長くえっちできなかったら気が狂う。


「たまにはお休みしようよぉ」
「だめ。こういうのは毎日の積み重ねが大事だから」
「大石、俺ね」
「うん?」
「えっちしたい」
また笑う。なんで笑うの。大事なことでしょ。
「今度な」


「大石はシたくないの?」
「それより、英二と一緒に高校に行きたいよ」
微笑む。


「もうイヤ、こんな生活!」
生活に疲れた主婦か、俺は?
「英二?」
「えっちしたい!したいしたいしたい!」
生真面目な俺のカレシは、困ったような面白がってるような、そんな優しい顔をする。
「英二、ワガママはダメだよ」
「だってしたいんだもん。大石がしてくんなかったら、他の人とヤる!」



「英二、本気か?」



俺はびっくりした。大石の顔が変わる。えっちの時に見せる顔。
ダメじゃん、そんな顔したら。俺、我慢できなくなっちゃう。
おへその下に電気が走る。

「う・・・」

大石が近づく。

「俺以外の奴とするのか?」

顎をつかまれる。

キス。路上のキス。学校に近いのに。人がいるのに。こっち見てる。
大石は時々こういうことをする。そういうのも感じる。
もっといじめてほしくなる。だから俺は言う。

「ヤるかもね」

大石の顔が怖い。いつものセックスの時より怖い顔になる。どきどきする。
腰の力が抜ける。怖いからじゃなくて、もう我慢できないから。
だから今すぐして。



大石は何も言わない。
でも俺の手をとって校内に戻っていく。
つかまれた手が痛い。
すごい力。
でも俺は痛いと言わない。痛いのが嬉しいから。
大石につかまれたところから電気が走る。
こうして手をつかまれて歩いてることが前戯みたいだ。

2階の西棟。
科学準備室、科学室、調理室を大石は素通りしてどんどん歩いていく。
俺の手をつかんだまま。
ぐいぐいひっぱって早足で歩いていく。
俺は少し小走りになりながら、大石のあとをついていく。

廊下のつきあたり、非常階段に通じる防火扉を開けて、大石は俺の手を
離して中につきとばす。俺は手をついて倒れこむ。

扉が重い音をたてて閉まる。
ぼごん、って音と同時に、大石が俺の上に乗ってくる。
俺のベルトを乱暴に引き抜く。
力任せに引き抜くから、腰のところが火傷しそうに熱くなる。
でも大石はおかまいなしだ。
何も言わず、怖い顔のまま、そのベルトで俺の両手を後ろに縛り上げる。
俺は両手を後ろに縛られて四つんばいのような格好になる。
手が後ろに固定されてるから、顔に床が冷たく押し付けられる。
俺は上半身学ランを着たまま、ズボンだけ足首までひきずり下ろされた格好になる。
どきどきする。これだけでイきそうになる。



大石が入ってくる。
潤滑油なしで。
大石は制服を着たまま、モノだけ出して。
入ってくるなり、大石は腰を前後にがんがん動かす。

「ひゃぁあ・・・」
ここは学校だってわかってる。
生徒だってまだいるかもしれないし、当直の先生、警備員は確実に構内にいる。
見回りに来るかもしれない。そんなことわかってても、俺は悲鳴をとめられなかった。

お尻が焼けるように痛い。ひきつれる痛み。絶対切れてる。血だって出てるかもしれない。
痛い痛い痛い。こわれる。俺の身体。裂けちゃう。壊れちゃう。
大石は後ろから俺の髪をつかむ。
「誰とするって、英二?」
「許してぇ、おーいし」
俺は懇願する。許して。もう許して。痛い。壊れる。
大石は俺の頭をわしづかみにして床に押し付ける。
「いやぁ!許して、大石!」
なのにキモチイイ。こんなキモチイイのはじめて。
お尻が痛くて痛くて、手足の先がしびれる。息苦しい。なのにキモチイイ。
大石に犯されてる俺。大石に奴隷みたくされてる俺。大石のモノになってる俺。
キモチイイ。頭おかしくなる。狂いそうにキモチイイ。


「ダメ、おーいし!・・メえっ!許してぇっ」
俺は叫ぶ。俺の顔が押し付けられてる床がよだれでベトベトになってる。
「いく。俺、イっちゃう。許して。いく。いっちゃうよぉ」
「犯されてるのに感じてるのか、英二?」
面白そうな大石の声。
「強姦されても感じるんだな。いやらしい奴だ」
笑ってる。残酷な笑み。声でわかる。俺のこと蔑んでる声。
「いやぁ・・・」
身体が震える。息が苦しい。


「いくぅ、おーいし、俺イク・・・」
もう少しでイク、ってところで、大石は突然モノを引き抜く。
「やあっ。なんで、おーいし、やめないで!」
「他のヒトにしてもらえよ」
笑ってる。大石、笑ってる。残酷な笑い。
「や・・・やだ、してぇ!お願い。して。してぇ!」
俺は腰をふる。大石にしてほしい。今すぐ入れて。入れてくれないと俺、おかしくなる。
「やぁ、して。して。頭おかしくなるぅ!」
「他のヤツとするんだろう?」
「しないぃ。しないからぁ。お願い、おーいし。してぇ」
「ふん・・・?」
指を入れて、大石は俺の中をこねまわす。膝が崩れそうになる。
「ああっ!」
すぐに指を抜いちゃう。俺は必死で叫ぶ。
「おーいしにしてほしいの!おーいしのじゃないとだめなの。
お願い、大石犯して。俺のこと犯して!」
喉の奥でくっくっと笑う声。残忍な笑い。
俺からは大石の顔は見えないけど、わかる。
クチビルの片方だけ上げて笑う、あの笑い。
大石のエッチな笑い顔。
「してほしい?」
「お願いぃ。おねがい・・・」
もう叫んでる俺。お願いお願い。してくれるなら何でもする。
大石のちょうだい。大石、俺のこと犯して。
「ウワキしない?」
「しません。しないからぁ!おねがい、入れてぇ!」


大石が入ってくる。俺の肉をおしわけて、大石がめりこんでくる。
「ああああ!!おーいし!おーいし!」
頭の中が真っ白になって、何も考えられなくなって、俺のカラダが宙に浮いた感じ。
カラダが存在しなくなる感じ。
大石とつながってるところだけ熱い。
熱くなってそこだけ大きくなる。
大石が俺の奥にぐっと入ってくる。大石も大きくなってる。

「英二・・・俺のものだ」
耳元でささやく。
俺は、その瞬間果てていた。




どろ・・・
大石のモノがひきぬかれたところから、大石の体液が出てくる。
お尻が温かい。
俺は非常階段の踊り場で床にべったり倒れていた。
大石の体液がしみる。
やっぱ切れてるんだろうなぁ、俺はうつろに思う。
どうでもいいけど、そんなこと。

「動くなよ、英二」
鞄からティッシュを出して、俺のお尻を優しく拭く。
「いたっ・・・」
「痛い?ちょっと我慢して」
「うん・・・」
俺は大石のおもちゃ。大石のもの。
大石の言うことなら何でもきく。
大石にされることは何でも俺の幸せ。


セックスが終わると、大石はいつもの大石になる。
優しくて温厚な大石。困ったような顔をしてる大石。

大石に服を整えて貰って、手を縛っていたベルトを外されて、
俺は大石の腕の中に抱かれる。
大石の背中にまだ痺れてる腕をまわす。
大石の背中、温かい。大石の腕の中、あたたかい。
「おーいし、だいすき」
「うん、おれも」



「ごめんな、英二。中、切れちゃったと思う」
「血、出てた?」
「うん、少し」
少し、かぁ。いっぱい出てよかったのに。もっと痛くなればよかったのに。

大石に汚されたい。もっと。
大石の痕を残して欲しい。それが絶望的な痛みでも。

「あと、もう一つごめん。今日ゴムつけなかった」
「いつもいいって言ってんじゃん、それは」
俺は、つけなくったってかまわないっていつも言ってる。
大石は絶対つける。俺はそういうの、あんまりスキじゃない。
大石を直に感じたいのに、距離を置かれてる気がするから。
でも大石は、俺を大事にしたいから、つけるって言う。
「大石のがカラダの中でドロドロしてる」
俺は大石に口づける。口づけたまま話す。
「大石のが俺の中に入ってる。嬉しい」
「英二・・・」
俺たちは口づける。熱いキス。大石の舌の味。大石の味。
もっとちょうだい。もっと。



「歩けるか?」
「だいじょーぶ」


防犯のために、非常階段側からは開かなくなってるはずの防火扉が、
俺たちのいる非常階段側から開く。ぎい。
「あれ?」
「壊れてるんだ、ここだけ」
「なんで知ってるの」
まぁいろいろ。と大石は笑う。


俺たちはすっかり暗くなった校外に出て、校門をくぐりぬける。
俺は大石の腕に自分の手をまわす。



「英二、ウワキするなよ」
大石が顔をそむけて言う。
「顔見て言ってよ」
「だめ」
「どうして」
「俺、きっとひどい顔して言ってるから、こういうこと」
大石は俺から顔をそむけたまま、
「ウワキしたら、俺、英二のことコロスよ?」



大石はどうやって俺を殺すんだろう。
ぞくぞくする。
わくわくする。
胸の高鳴りを、俺は抑えられない。



俺ってマゾだったんだ、と笑う。
大石に気づかれないように、そっと。