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山猫の森/1
ある春の近づいた麗らかな朝 一つの村が雪崩に飲まれて消えた そこに派遣された王宮からの使者と共に 春になり、使者が戻ってこないことを案じた王は 捜索隊を派遣した 彼らが見たものは 無残に焼け焦げた森 雪崩にのまれて倒壊した建物 その周辺に転がる幾つもの死体 人間と山猫の無数の死体 綺麗なまま死んでいるもの 傷だらけで死んでいるもの その中に一本の剣が落ちていた 紋章から、王宮の使者の持ち物と分かる しかしその持ち主の身体は どこにも見つからなかった 村の中にも 村の周辺にも 焼けた森の中にも 森の奥の洞窟の中にも 小川の下流までも捜索されたが 使者の身体は見つからなかった 冬がその姿を見せてからしばらくのこと その日は吹雪だった 赤毛の山猫は、群れから離れて 一匹だけで森のはずれを走っていた 向かい風に逆らうように 白く濁った大気に、赤い毛が浮かんでは消える その影がふと止まった 雪の中に何かを発見して、掘り起こす そこには人間の男が真っ白な顔で横たわっていた 赤毛の山猫はもう少し掘り起こして、 その人間がまだ死んでいないことを確かめると 一目散に森の奥に駆け出した 森の奥には山猫の集落があった 中央に火が燃えており、その向こう側に かなり歳を取った真っ白な毛の山猫が身体を丸めている 「森の入り口に人間が倒れてるよ 真っ黒な髪のすごく綺麗な顔の男だよ」 赤毛はそう叫んだ 歳とった山猫は閉じていた目を片方だけ開け、 目の前に躍り出た若い山猫の赤毛を眺めて そして疎ましそうに目を伏せた 「だからどうしたというのだ」 「あの・・・あのままでは死んでしまうよ」 「まさか助けると言うのではないだろうな? 人間が今までわたしたちに何をしてきたか考えてみろ」 「でもあの男はここの人間ではないみたいだよ」 「同じことだ、人間なのだから きっと今助けてやっても、その男もきっと他の人間と同じように 木を切り倒し、森を焼いてわたしたちの住処を奪うようになる それならば、今、凍えて眠るように死なせた方がいい」 赤毛の山猫はそのきつい口調に少し臆したけれど、 それでも諦めきれないように言う 「でも、でも」 「いい加減におし お前は何だってそんなにその人間に肩入れするのだ」 白い毛の山猫はぴしゃりと言い放つ 「とにかくその男は助けてはいけない この森に入れることはもってのほかだ わかったね」 赤毛の山猫は、不承不承、こっくりと頷く 引き下がっていく赤毛を周囲の山猫たちは冷ややかな目で見詰めていた 山猫は群れから離れて後ろを振り返る そして、誰も見てないことを確認すると全速力で走り出した ぱちぱちという静かな音と、時折ごおっと鳴る風の声に旅人は薄目を開けた そして、やがてぶるっと震えて今度は大きく目を開けた 自分がどこにいるのか、最初は分からなかった 夢を見ているようだった 横を向いて横たわる自分の身体の下に、わらが敷かれていることに気づいた そして、目の前に赤くゆらゆらと揺れるものがあり それが焚き火であることを、爆ぜる火花でようやく認識する そして、その向こうに 赤く輝く毛色の山猫がじっと自分をうかがっている その美しさに心打たれた 旅人は身を起こそうとしたが、身体は力なく芋虫のように這うだけだった 何より身体を支えあげる腕に全く感覚がなかった 何度か試してはみたが、ようやく自分が動けないことに諦めて、 彼は横たわったまま、赤い影に声をかける 「やあ。君が俺を助けてくれたのかい?」 山猫は声をかけられたことに驚いたのか、少し震えた 旅人は静かな声で礼を言った 「ありがとう」 山猫は火のまわりをぐるりとまわって旅人の近くまでゆっくり進む その姿は非常に優美だった 脚を動かすたびに毛皮が波うち、そこに炎が映る 波が寄せては引くように、彼の身体に炎が打ち寄せる 「怖くはないの」 「ああ、そうだね、不思議とね」 旅人は、今やっと山猫が肉食であることに気づいて驚いたように、しかし優しく笑った 「何でかな お前がとても綺麗だからかな」 それを聞いて山猫は軽くとびすさった 我知らず、牙をむいて背を高く丸める 「何か変なことを言ってしまったか」 旅人は身動きもせずに静かに訊ねる 剥き出した歯の間から息が漏れ、身体の緊張を解き、山猫は恥ずかしそうに後ろに下がる 「ううん、ごめん、びっくりしただけ だって綺麗だなんて言うから・・・」 旅人は目を細めて山猫を眺める 「炎が毛に映えてとても綺麗だ 赤い毛の山猫は珍しいな きっとお前は特別なことをする為に産まれてきたんだろう」 「そんな、そんなことないよ 俺は赤い毛だから、いつでも仲間外れで いつでもみそっかすよばわりで」 山猫は動転し、気後れして、みっともないほどへどもどと言う 「だからそんなことないよ」 山猫はもう旅人が見られなかった どこか隠れるところはないかと、目を伏せたままきょろきょろとあちこちを見る 旅人はようやく自分がどこにいるのかを知った そこは岩だらけの小さな洞窟だった 倒れる時に、目の端に森が生い茂っていたのを思い返し、 あそこからそう遠くはないところだろうと考える 首を捻じ曲げて洞窟の入り口を見るが、外はひどい吹雪で 景色は全く見ることが出来ない 洞窟はごつごつした大きな岩で囲まれており、真ん中に火がくべられている そして自分の下に敷かれたわら これはこの山猫が用意したものだろうと思った 旅人は洞窟に入って右奥に、火の方を向いて寝かされていた 山猫の赤い毛を眺めているうちに、ぱちぱちと燃える火を少し暖かいと感じ始めてきた 先ほどまでは、寒いも暑いも分からなかったのだ 旅人は、じりじりと後ろに下がり始めた山猫に再び静かに声をかける 「暖かい色だ」 山猫の明るい毛色を見ていると心も身体も熱くなり 旅人はより一層、燃える火の暖かさを感じるのだった 「人間が怖いか? 俺は何も出来ないよ 大丈夫だよ もうちょっとそばに来てくれないか」 おずおずとそばによる山猫は少しだけ卑屈な顔をする 「綺麗な毛だ ふわふわで 触ってもいいかい」 こっくりと恥ずかしそうに頷く山猫を微笑んで眺めて、旅人はそっと腕を伸ばした すると、その指先が真っ青になっているのが見えた 真っ青を通り越して、茶色くなっている 「大変 このままだと腐り落ちてしまう」 山猫はびっくりして叫んだ それから、また旅人の顔を上目遣いに見て、勇気を振り絞るように 喉の奥から引きずり出すような声を出す 「あのね、あのね、怖がらないでね 俺の牙はとても鋭くて尖っているけれど 俺は決して噛まないから だから怖がらないで」 山猫はその指先をそっと舐めてから口に含んだ 旅人の指をゆっくりと舌と上あごで揉む 刺激を与えすぎないように、優しく 「ああ、少し感覚が出てきたよ 暖かいな それに気持ちがいい」 「じゃあもう大丈夫だね こっちは自分で動かしていて そして反対側の手を俺の口に」 「辛くないか」 「俺は大丈夫 だから、ほら、口に入れて」 そうして旅人の手は山猫の口の中でほぐされた 旅人はまた感覚の出てきた指を口から出して、 自分でゆっくりと動かしながら山猫に話しかける 「綺麗だな 焔の色とお前の毛色が共鳴している」 ゆらゆらと揺れるように艶めく赤毛を眺める 「ああ、本当に綺麗だ」 うっとりと自分を見る旅人の黒い瞳を感じて、山猫はまた俯く 「そ、そうだ、寒いでしょう 俺のお腹にひっついてよ」 「それじゃお前が寒いだろう」 「俺は大丈夫だよ」 山猫は旅人の傍らにお腹を彼のほうに向けて横たわる 旅人は少し逡巡した後、それでもそのお腹にそっと身を寄せる そうして目を閉じる 「暖かい?」 「ああ、暖かいよ それにいい匂いだ お日様の匂いがする」 「お母さん猫は子供をお腹で暖めるんだ だからここが一番暖かいはずだよ こうやってね、抱くんだ」 遠慮がちにそっと山猫の腹に触れている 旅人を、山猫は身体を動かして強く抱く 「お前は・・・少し不思議な匂いがする」 「そうか」 「うん、少しだけ」 山猫は言わなかったけれど、旅人は死臭がした 彼自身の死ではなく、人に死をもたらすもの特有の香りがした 「お前は狩人?」 「いや、違うよ 俺はただの宮仕えだ」 「そうか」 この匂いが何なのか 自分に災いをもたらすものなのか 山猫には分からなかった けれども、触れた身体を離すことはできなかった 一人と一匹は抱き合って眠った ごおごおと鳴る風は洞窟の入り口を叩いたけれど 中にまでは入ってこられなかった 山猫はうつらうつらとしては、時折目を開けて、洞窟の外を睨み付けた そして旅人の寝顔を眺めて、彼の艶やかな黒髪を顎でそっと撫で、 それから再びうつらうつらとした 一人と一匹はとても幸せな夢を見ていた 朝になると、嵐はすっかり止んで 眼を刺すような雪景色が一面に広がっていた 山猫は眩しそうに外を眺め、それから旅人にそっと声をかけた 「ちょっとだけ待っててね」 山猫はまだ眠っている旅人を起こさないように そっと立ち上がったのだけれど、 ふっとぬくもりが離れたのを感じたのか、 旅人はその黒い瞳を開いた まだ完全に目を覚ましきっていない旅人の頬に 自分の頬を擦り付けて、山猫はもう一度言う 「ちょっと待っててね、すぐ戻るから」 そして、旅人が返事をする前に、軽い足取りで山猫は外に飛び出した 旅人はうまく動かない身体をゆっくりと起こして、よろよろと洞窟の入り口までよろめき歩く そこには駆け抜ける山猫の姿があった 明るい一面の雪景色に跳ねる雪兎を追いかけて 金色の朝日に真紅のしなやかな身体が跳ねる 「美しいな」 旅人は知らず、呟く フェイントをかけた後、すばやい切り替えしで山猫は雪兎に飛びかかった 日が雪面に反射して眩しい きらきら光る白の中で踊る赤 「すごいな、お前はとても狩りが上手なんだな」 雪兎を咥えて帰ってきた山猫に旅人は声をかける 「それに、恐ろしく美しかった」 旅人を驚いたように見上げて、ぼとっと雪兎を落とす 口がわなわなと震えて、山猫は震えて、それから勢いよくまた洞窟から駆け出て行った 「おい!どこへ行くんだ!」 旅人は驚いて叫ぶけれど、山猫は森の方に向かって 脱兎のごとく、それこそ先ほどの雪兎のように駆けて行った 「参ったな・・・怒らせてしまったのかな」 ふうとため息をつき、旅人は足元に落とされた兎を眺めた これをどうしたものかな、と屈んでそれを手に取ろうとしたけれど 彼の手は殆ど動かなかった 力を入れると、何とか内側に指は曲がるものの、手のひらに指をつけることは出来ないし 力もうまく入らなかった 「参ったな」 旅人は、だけれど不思議に嬉しそうな声を出した 「参った、もう動かないかも知れないな」 ふふ、と楽しそうに笑う 「参った」 自分のこわばった両手を眺める 片頬に薄笑いが浮かんで、間もなくそれも消えた 眉間に皴を寄せて、彼はじっと眺めていた 己の掌を 優しげで白い、綺麗な掌を どのくらいそうして立っていただろう、 洞窟の入り口にどさっと何かを置く音で、旅人は振り返った そこには山猫が申し訳なさそうな顔で、足元に沢山の薪を置いて 首を下げてこちらを上目遣いに見ていた 「ご、ごめんね、急に飛び出して・・・」 「やあ、薪を集めてくれたのか」 「うん・・・火が弱くなってきたから・・・お前は生肉は食べないでしょう?」 「生でもかまわないけれど、そうだな、焼いたほうがいいな」 「座ってなよ」 山猫はその薪の一部を咥えて、小さくなった火の中にくべる 「すぐに焼いてやるからね」 「俺も手伝うよ」 「いいから」 ぱちぱちと音をたてて火が強まっていくのを旅人は火のそばに座って眺めていた 「ついでに服を脱いで乾かしたほうがいいね 濡れたままじゃ寒いでしょう」 「ああ、でも脱いだら寒いな」 「乾くまで俺のお腹の中に入れてあげるよ」 旅人は服をすっかり脱いで、山猫の腹の中に丸まった 山猫は彼が寒くないように、頬や尻尾で彼をさすった 「なぁ」 山猫のやわらかいお腹に頬ずりしながら旅人は囁く 「何でこんなに優しくしてくれるんだ 俺は人間だぞ 怖くはないのか」 「ちょっと怖いかなって思ったけど でも・・・雪の中でお前を見つけた時にびっくりして どうしても助けずにはいられなかったんだ」 旅人のむき出しの肩に毛皮で覆われた頬を擦り付けて山猫も囁く 「雪の中に何か黒いものが見えたんだ この時期には黒い毛のものは殆ど冬眠しているでしょう だから何かと思って近寄ってみたら、人間の髪の毛だったから 驚いて掘ってみたら、お前が出てきた 真っ白な顔で、真っ黒な髪で、すごく綺麗な顔してるなあって思って なんだか宝物を見つけたみたいな気分になったんだ」 「俺が?宝物?」 旅人は軽く笑う だけれど、山猫は真剣な声で続ける 「うん、なんていうのかな、森の中で迷ってさ ガサガサ木を掻き分けて歩いていたら、急にぱっと 目の前が開けて、ああ、外に出られたって時みたいな そんな気分になったんだ 道が見つかったときみたいな・・・うまく言えないけど」 ぽかんと口を開けて旅人は山猫を見ていた その顔を見て、山猫は恥ずかしそうに目をそらせ、 いよいよ強く頬で旅人の方を頬でこすった 「お、俺、変なこと言ってるね、ごめんね」 「いや、そうじゃないんだ」 旅人は、山猫のお腹に当てた頬に力を入れた 「そうじゃなくて 俺も同じことを思ったから」 「同じ?」 「目を開けてお前を見た時、そう思った 真っ暗なところで迷子になって、道がどこにあるかも 分からないような時に、 かがり火が急に道を照らして指し示すみたいな そんな気分になって、はっとした」 ぎゅっとしがみつく旅人の耳を山猫は優しく舐めた ぱちぱちと薪は優しく燃え続けた 「さ、さぁ、そろそろ火もいい加減だし、服も乾いたかな 兎を焼こうね」 山猫はふと身を起こして、旅人に服を咥えて渡す すっかり乾いた旅人の服は火で温められてほかほかになっていた ぎこちない仕草で服を着る旅人を心配そうに見た 「手、うまく動かないの」 「ああ、握れないんだ」 「しもやけで腫れているからかな」 「ああ、そうかも知れないな」 ふっと寂しそうに笑う旅人の額に落ちた黒髪を 山猫は舌ですくって後頭部に撫で付ける 「大丈夫だよ、あとで俺がまた揉んであげるよ」 「ああ・・・そうだな」 「大丈夫、そんな顔しないで そうだ、おまじないもかけてあげるよ 俺のおまじないはよく効くんだから」 動かなくてもいいんだ 動かないほうがいいんだよ その言葉は呑み込まれた 「ほら、丸々として美味しそうでしょう 一番太ったやつを獲ってきたんだから 沢山食べて元気にならないと」 「半分こしないか」 「いいんだってば、まずお前が食べて それから俺は自分でまた獲ってくるからさ」 たらふく旅人に食べさせて、山猫はとても嬉しそうな目をした とても嬉しそうな目をして、ころころと喉を鳴らした 数日もすると、旅人はすっかり元気になった 朝になると一緒に雪原を駆け回って、じゃれあって転がった 夜になると身を寄せ合って眠った 夜の間中、旅人の右手はずっと山猫の口の中にあった 「お前は何をしにこの森に来たの」 しばらく一緒に過ごしたある日、また吹雪が来て 一人と一匹は洞窟の中で色々と話をしていた 「俺は王の手紙をこの先にある村に届けに来たんだ」 「王様って偉いんでしょう」 「そうだな、多分」 話しながらも、山猫は時折旅人の右手を舐めていた 腫れが引いてかなり動くようになったとは言え、まだ頻繁に 痺れが出ては、弾かれたようにものを取り落としてしまう右手を 「じゃあその村に行かなきゃいけないね」 「いいんだ、行かなくても」 「どうして」 「いいんだ」 「手紙をなくしてしまったの?」 「いや、ここにあるよ でもいいんだ、もう行かなくても」 「俺には難しいことは分からないけれど それを届けなければダメだと思う」 「嫌だ、行きたくない 俺はここにずっといたい お前と一緒にここで暮らしたいんだ 人間じゃなくても構わない 山猫にはなれないけれど 何者にもなれないけれど それでも俺はもう人間なんかじゃなくて構わないんだ」 「ダメだよ」 山猫は初めて厳しい声を出した その声に旅人ははっとした 「明日の朝には森を出て村に行くんだ」 「お前は俺と一緒にいたくないのか」 「そうじゃないよ そうじゃない」 山猫はまっすぐに旅人の目を見る そのたゆまない目の光が、旅人に気恥ずかしい思いをさせるほどに 「お前がそんな風に言うほど、何か辛いことがあったのか そんなの俺には分からないけれど だけれど、他と関わっていくことを恐れてはいけないよ 人の気持ちとか人の信頼とか、そういうのを裏切ったらダメだよ それは人間とか山猫とか、そういう問題じゃない お前が何であれ、お前を信頼して託された使命を全うすべきだよ たとえそれが出来なくても、その努力を放棄してはいけないと思うんだ」 言い終わると、山猫は途端に恥ずかしそうに微笑んで 腰掛けた旅人の頬に自分のふわふわの頬を擦り付ける ふわふわの赤毛のはねた頬は 見た目よりも固かったけれど、旅人は山猫の頬に 自分もまた頬を押し当てる 「そうだな 本当にその通りだな」 旅人はそっと山猫の首に腕をまわして、 やがてその腕に力を込めてぎゅっと抱きしめる 「楽しかったよ、一緒に過ごした時間」 「俺もだ」 「またいつか、どこかで会える気がするよ」 「俺もそんな気がするよ きっと会えるな、いつか、どこかで」 「うん」 一人と一匹は、互いの胸に灯った不安には気づかないふりをした 互いにそれを相手に気取られないように、知らんふりをした 次に会うときは きっと人間と獣としてあいまみえる予感がした それでも一人と一匹はその予感には目をつぶって抱き合った 見えない未来は分からない だから知らない それから夜が明けるまで、一人と一匹は静かに話をした 夜明けと共に旅人は村に向かった 王からの書簡を胸に抱き 向かい風になぶられて歩き出した 山猫はその姿が見えなくなるまで しゃんと胸を張って見送り それから森に向かって駆け出した →next ←back to top |