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U ARE THE SEX MACHINE / HE
彼はまだほんの子供だった。 あどけない顔をした子供だった。 綺麗な子供だとよく言われていた。 整った顔立ち。 大きく垂れた黒目がちな目、まっすぐの鼻筋、ピンクの薄い唇。 そして、育ちのよさそうな物腰。 彼はまだ、ほんの子供だった。 その男の家にひきずりこまれたのは、そろそろ12の誕生日、という4月のこと。 塾の帰り道は、明るい大通りを使うように言われていた。 近道ではあるけれど、公園を通り抜けてはいけないと固く言われていた。 だけど、彼はとても急いで家に帰りたかったのだ。 急ぎ足に歩いていたら、後ろから口を塞がれて、身体が宙に浮いた。 誰か分からないけれど、自分を抱えてどこかに連れて行こうとしている。 彼はそう理解したが、恐怖のあまり、身体がすくんでしまった。 そのままひきずるように抱えられて、どのくらい行ったのだろうか。 彼は町外れの廃屋に連れ込まれた。 彼は誘拐されたのだと思った。 この廃屋は知っていた。 誰も住んでいないはずなのに、夜に電気が点っているのを見たことがあるという奴が クラスにいて、しばらく幽霊屋敷と言って評判になっていた家だ。 中の一室に放り込まれた。 人は何とか住んでいるようで、わたがはみ出した変色した布団、生ゴミなのか食事なのか わからないもの、ボロきれのような服があちこちに散乱した、汚い部屋だった。 「やだ、やだやだ。家に帰してよ」 やっと声を絞り出した。 彼を抱えてきた男はドアをびしゃん、と閉めて、彼のほうを振り向いた。 汚い男だった。 月明かりの下で見たその顔は、本当に醜かった。 彼は「ひっ」と弱々しく息を呑んだ。 男は何もいわずに彼の半ズボンをむしりとり、小さなペニスを手にした。 「ひ・・・」 恐怖で縮み上がったペニスは、小さくなっている。 まだ毛も生えていなかった。 つるつるの股間で、小さな小さなペニスが縮こまっていた。 男はしばらく汚い指でペニスを弄んでいた。 そうして、やおら、それを口に含んだ。 「やっ、やああっ、何するの、やめてぇ!」 突然声が口を割って飛び出す。 男はいちど含んだペニスを口から離し、彼の頬を力いっぱい張った。 「きゃああ!」 「おい、うるせえ。黙ってろ」 低い声で命令されると、彼はぶるぶる震えながら頬を押えてうなずいた。 そうして、男はもう一度、彼の小さなペニスを含んだ。 くちゅくちゅという濡れた音、興奮しているらしい男の鼻息が彼の股間に当たる、 ぶうぶうという音。 彼は恐怖に震えた。 そして、突然尿意を覚えた。 「あ、あの、おしっこしたいです・・・」 彼は可愛い声で囁いた。 まだ声変わりをしていない、少年の高い声だった。 「しちまえ」 「で、でも・・・」 「いいから」 男が口を離したので、自分のペニスが目に入った。 ぬらぬらに唾液で濡れたそれを目にした瞬間、彼はびっくりして声をあげた。 「あ・・・腫れてる。ぼくの・・・」 彼は、まだ勃起したことがなかったので、それが腫れているのだと思った。 「どうしよう、こんなの・・・」 彼は泣き出してしまった。 男はふふん、と満足そうに笑うと、泣きじゃくる彼を無視して、またペニスを口に入れた。 しくしくすすりあげる鼻の音が加わった。 だけれど、泣きながらも彼は強烈な尿意を感じた。 おしっこしてしまったら、腫れたのも治るかな。 そう思った。 そうして、彼は自分自身を解放した。 ぴゅく、ぴゅく、とペニスが震えた。 その瞬間、彼は、おしっこじゃない、と感じた。 アナルのほうまで走る電気。 初めて知る快感。 思わず声を出した。 「あっ、あああっ・・・」 男は彼のシャツをたくしあげ、彼の小さな腹に、口に含んだものを吐き出した。 白い液体。 ぬるぬるして、べとべとした液体。 「ほら、これがお前のだ」 「え?」 「今ちんちんから出したもんだ」 「だって・・・こんなの、おしっこじゃない・・・」 腹部の窪みに溜まった白い液体を呆然と彼は眺める。 そこに溜まりきらなかった分は、わき腹をつたって背中のまで伝い流れる。 「違うもん、だって、こんなの、ちがうもん」 わなわなと唇が震えた。 男は再び嘲笑のような笑いを浮かべた。 そして彼に見せ付けるかのように顔の前にまたがり、ずるり、とズボンと下着を 一緒に脱いだ。 そこにあらわれたものは、彼を一層おびえさせた。 大きなペニスだった。 大人の男のペニスは、今まで父親と風呂に入った時に見たことはあったが、 これほど大きくなかったし、しかも、もっと柔らかそうだった。 その男のペニスは大きくて、しかもがちがちに固かった。 「触ってみろ」 彼の短い髪をつかんで、身を起こさせる。 臍にたまっていた精液が流れて、小さなペニスをぬらした。 「これ、触るの」 「そうだ、さっき俺がしたみたいにやれ」 おそるおそる触ってみると、大変固かった。 子供の手にあまる大きさだったので、彼は両手でそれを包んだ。 そうして、さっき男がしていたのを真似て、しゅ、しゅ、としごいた。 「初めてにしてはなかなかいいぞ」 男は馬鹿にしたように鼻で笑う。 「今度は口に入れろ」 「は、入らないよ、こんな大きいの」 「いいから入れろ」 男は彼の小さな顎をつかんで、無理矢理にこじ開け、中にペニスを差し入れる。 「んぐぅ・・・ぐ・・・」 小さな頬がパンパンにはりつめて、唇が切れそうだった。 唇が押し上げられて鼻腔を殆ど塞いでしまい、彼は息ができずにもがく。 「噛むなよ」 にやにや男は笑って、腰を前後にゆっくり動かしだす。 「んぐ・・・ぐぅ・・・ぐ」 彼は我知らず、繰り返し襲ってくるショックに涙を流していた。 「舌を裏筋に絡めろ」 そんなのは無理な相談だった。 口の中はペニスでいっぱいになっていて、彼のピンクの舌は口腔の下に 押しつぶされていたのだから。 男はやおら彼の口からペニスを抜く。 ほっと彼が息をついた瞬間、また殴り飛ばされた。 「舌を使えと言っただろう!」 男に怒鳴られる。 ひぃっ、ひぃっ、としゃくりあげながら、彼は 「だって・・・だってできないもん・・・舌、動かせないもん・・・」 と言った。 そして、今度は反対側の頬を張られた。 そんなふうに、何度も頬を張られながら、彼は口にペニスを押し込まれ、もがいた。 ぼろぼろと涙が出た。 男の命ずる通りにしようと努力をした。 だけど、上手く出来なかった。 その度に頬を張られた。 男は長々と口の中をまさぐってたが、おもむろにその小さな口からペニスを出した。 彼は、はぁはぁと息をついた。 終わったのかと少し気を抜いた瞬間、彼は四つんばいになれ、と命令された。 上にシャツを着たままだったのを、それも脱がされて、素っ裸で四つんばいにされた。 男は背後にまわって、尻に手をあてがった。 彼は何をするのだろうかと怯えたが、ここで声を出せばまだ頬を張られるのでは ないかという恐怖の為、何も聞けなかった。 しばらくその小さな固い尻を撫で回していた男は、突然、小さい蕾のような アナルに舌を差し入れた。 「ひ・・・」 彼は震えた。 ぐちゃ、ぐちゃ、と音が響く。 そうして、彼がわなわなと肩を震わせて耐えた後、アナルから舌が抜かれ、 そして激痛が襲った。 「ぎゃぁああああ!!」 彼はたまらず叫び声をあげ、四つんばいになった身体を支えていた肘を折った。 男は彼の尻を打った。 「うるさいぞ、叫ぶな」 そう言って、何度も尻を打った。 そして、焼け付くような熱い感覚が下半身に広がる。 アナルが痛いとか、そういう問題ではなかった。 身体がちぎれそうだった。 「うっ、うっ・・・うう・・・」 唇を噛み締めて、彼は声を漏らすまいと耐えた。 これ以上暴力をふるわれるのは耐えられないと思ったからだ。 小さな身体をぶるぶると震わせて、彼は必死で耐えた。 めりめりと身体中の肉が押し分けられる。 実際には裂けて破られていたのはアナルの襞だったのだが、その苦痛は全身に広がった。 ぶち、という音と共に、アナルが裂けて血が流れた。 男は、これで少し滑りがよくなる、と言った。 まだ彼は子供で、身体も小さかった。 体つきも細くて華奢だった。 その小さな身体を男は押さえつけ、蹂躙して汚していった。 「ううううう・・・」 吐き気がした。 内臓が全て押し上げられて、口から押し出されるようだった。 そして激しい痛み。 彼はぼたぼた涙を流した。 口の中は、殴打されて切れていたので、血の味でいっぱいだった。 「そら、あと半分だ」 男は笑って、そして、残りの半分を、彼の小さな身体に一気にねじ込んだ。 「ぎゃああああ!!!」 彼は脳天までつきあげる痛みに絶叫し、失神した。 だが男は許さなかった。 根元まで彼に埋没させた状態で、尻をたたき、髪をつかんで顔を起こさせ、 彼の意識をこちらに呼び戻した。 一瞬の暗転の後の、激痛。 「い…いたいよぉ、いたい、いたいいたい!」 叫ぶ度に尻を打たれ、髪を捕まれた。 それでも声を抑えることは出来なかった。 彼の小さな尻は赤くはれあがり、アナルから出た血で更に紅色に染まる。 男はそれでも彼を許さなかった。 何度も尻を平手で殴打しつつ、腰を激しく打ちつけた。 彼は叫んで、叫んで、叫んだけれども、救いはなかった。 彼の声はただ虚しく壁に吸い込まれていった。 何度気絶しただろう、何度痛みに起こされただろう。 彼にはもう分からない。 ループする苦痛の中、吐き気に似た感覚が彼を襲い出す。 「うあ・・・うっ、う、ううっ」 彼はいまや肛門の内壁そのものだった。 全神経がそこに存在し、そこにしか何も存在しなかった。 「何だその声は?ああ?」 男は笑うけれども、それは彼の耳には届かない。 彼は全ての感覚を失っていた。 わかるな、と男は言った。 また来い、と。 彼の顎をわしづかみにして揺さぶりながら。 彼は頷いた。 恐怖に怯えた目で。 だけれど、彼は確実に感じてもいたのだ。 身体の奥底にチラチラと燃える小さな疼きを。 帰りが遅くなったことに対して、彼がどう母親に説明をしたのかは覚えていない。 彼は優等生であったし、真面目な子供でもあったので、塾の先生に質問をしていた、 とか何とか、そういう言い訳も何とか通用したのだろう。 彼は布団に入って、アナルの痛みにじっと耐えた。 血がつくといけないと思い、ティッシュをこっそり股間に挟み込んだ。 ガサガサとアナルの入り口に触れるティッシュの感触だけが彼の身に 現実に起こっている唯一のことであるように感じた。 あまりの痛み、そして誰にも言えない惨めさに涙が出た。 次の日になると、尻からの出血は止まっていた。 彼はそれでも不安で、トイレに何度も行っては小さな指のひらで アナルをなぞって確かめた。 そうやって指でアナルを触るのは、彼の記憶している限りでは初めてのことだった。 こんなにシワが寄ってるんだ、と彼は不思議に思った。 少し力を入れると、ちり、と痛んだ。 そして、表皮の痛みとはまた別に、もっと身体の奥に疼きを感じた。 力を入れてアナルを押すと、痛みも増したが、同時にその疼きも増した。 彼は一人になる時、例えばトイレの中だとか、風呂場、そしてベッドの中で、 アナルを何度も押した。 日々、あの日に受けた傷による痛みは消えていき、それが消えた分だけ疼きが 占領するようになった。 彼はアナルを押すたびに、もう二度と触るまいと自己嫌悪に陥るのだが、それでいて、 いつ一人になれるだろうか、いつアナルに触れられるだろうかと、一人になる瞬間を 待ちわびている自分も意識した。 彼の身体は疼きに犯されていた。 彼はそれから10日ほどして、あの家に足を運んだ。 彼をそこに再び導いたのは恐怖ではなく、ひとえに夜毎に増す疼き。 別れ際に男が彼に言った言葉は、彼にとってはただの口実だった。 来いって言われたんだ 彼は自分に言いきかせる。 来いって、怖い顔で言われたから行くんだ。 またあんなことをされたいからじゃない。 行かなかったら、何をされるか分からないじゃないか。 仕方がないんだ。 そうだ、僕は行きたくて行くわけじゃない ガタガタのドアには当たり前のように鍵がかかっていなかった。 彼はそっと扉を開けて、薄暗い中を覗き込む。 かた、と小さな音がして、彼はびくっと震えた。 そして、声を恐る恐る絞り出す。 「あ、あの・・・こんにちは」 この前に連れて行かれた部屋に入ると、男はあの汚い布団の上でねそべっていた。 彼の声で半身を起こして 「来たのか」 とせせら笑った。 その下品でいやらしい顔を見て、彼の股間は痺れた。 彼は男の手に完全に落ちた。 彼は泣きながら男に抱かれた。 その泣き声は、回を追うごとに甘い響きを帯びていった。 あのね、と彼は食べ物を差し出す。 「お腹すいてるかな、って思って」 その途端、彼の身体は吹っ飛んだ。 殴打されたのだ。 「余計なことはするな」 男は落ちた食べ物を拾いながら言った。 「お前は俺に尻の穴を差し出しゃ、それでいいんだ」 だけれど、男はどっかり胡坐をかいて、その食べ物をむしゃむしゃと食べだした。 「おい、こっちに来い」 そうして、萎びたペニスをぽろん、と出す。 「咥えろ」 彼はべそをかきながら、言われた通りに臭いペニスを口に含む。 むちゃむちゃと粗野に食べ物を咀嚼し嚥下する音と、ぺちゃぺちゃと彼が猫のように ペニスを舐める音が重なる。 「何度言わせるんだ、舌をもっと使え」 と、空いている方の手で彼の髪をつかむ。 「んぶ…んん…」 彼は必死で舌を使い、男のペニスに愛撫を加える。 男が食事を終える頃には、男のペニスは腹につきそうなほど勃起していた。 そして、彼の小さなペニスも。 セックスの途中にも何度も頬を張られた。 「おい、声を出すな、男のくせに」 「だって…あん、ああっ、あん…」 突き上げる快感に、彼は声を抑えることができない。 可愛い声で喘ぐ。 男は頬をつねりあげながら、激しく腰を突き動かす。 「女みたいな声をだしやがって」 「あ…あん、あん、あん…」 頬がじんじんするけれど、彼は声を止めることができない。 そうして、彼はビクビクと痙攣して達してしまう。 「ああああっ、ああああ!」 「何だよ、もうイきやがったのか」 男はそれでも腰の動きを止めない。 彼は何度も何度も導かれる。 その度に可愛らしい声をあげ、小さな肩を震わせた。 彼はそこから逃れられなかった。 暴力によって拘束されていたのではない。 彼は望んで彼に犯されにでかけた。 彼のところにどうしても行けない時が続くと股間が疼いた。 冬が深まってきたある日のこと、彼はいつも通りにあの家に足を運んだ。 「あれ・・・?」 家の中には誰もいなかった。 彼はこっそり家から持ち出してきた毛布を下ろして、その上に腰掛けた。 この前のセックスはとても寒い思いをしたからだ。 むき出しにされた小さな尻に鳥肌がたつのがわかった。 男は、今までになかったことだが、射精をしないままセックスを終えてしまった。 寒くてそれどころじゃない、と言って。 彼は中途半端なセックスの終わりに、納得のいかない気分になりながらも思ったのだ。 この隙間風だらけの家では、男も寝る時に寒い思いをするだろうと。 それで、こっそり毛布を持ち出してきたのだ。 「また殴られちゃうかな」 彼はそれでも、少し幸せそうに微笑んだ。 今までも男が時々家を開けていることはあった。 食べ物を拾いに行ったり、公園の水飲み場まで水を汲みに行ったり、そういう 「仕事」に出かけていたりするのだ。 だけれど、男は必ず帰ってきた。 彼はそれを知っていたので、毛布の上にうずくまって待った。 どのくらい経っただろう。 彼はいつの間にか膝小僧を抱えたまま、うとうとと眠ってしまっていた。 小さな肩が寒さにぷるっと震えて、それで目を覚ます。 「あれ・・・?」 周りを見渡すと、だいぶ暗くなってしまっていた。 目をこらし辺りを伺うが、男の姿はなく、気配もしない。 「どうしちゃったんだろう、お仕事が大変なのかな」 彼は既にその時、認めたくはない予感があったのだ。 彼は、「男が帰ってくる」前提での言葉を口に出すことにより、 胸に湧き出ずる不安を打ち消そうと必死だった。 「そうだな、これから冬だもの。色々支度が忙しいよね」 今日は帰ろう、また明日くればいい。 彼はそう思って、腰をあげた。 そして、いつもあの汚いワタのはみでた布団が置いてあるところに何もない、 その事実から目を逸らした。 次の日も、またその次の日も、彼はその家に足を運んだ。 男が帰ってきた形跡はなかった。 彼が置いていった毛布は、彼が前日に残した形のまま、そこで毎日冷たく彼を迎えた。 彼はそこにうずくまって、毎日毎日男を待った。 とても冷え込むある日のこと、彼は毎日凍えた指に息を吐きかけながら、男を待っていた。 はあ、と、ピンク色の唇から白い息を指先にはきかける。 「寒いよ・・・すごく寒い」 暖めてよ。 抱えた膝小僧に、顔を埋めた。 その頬を、冷たいものがかすめる。 顔を上げると、雪が家の中に舞っていた。 今年初めての雪だった。 「あ・・・」 隙間風に乗ってきた雪が、家の中でふわふわと舞った。 「ゆきだ・・・ねえ、ゆきだよ」 彼の大きな瞳から涙がぽろりと落ちた。 男がいなくなって、初めて泣いた。 そして彼はやっと認めた。 男が彼を置いて出て行ってしまったこと。 「ひどいよ」 彼は震える声で、囁いた。 一粒目から落ちることを許してしまった涙はもう止まることがなかった。 「ひどいよ。僕を置いて行っちゃうなんて」 彼は泣いた。 しゃくりあげるようにして泣いた。 「こんなに寒いのに」 肩を抱いた手が震える。 「ひどいよ」 彼の母親は、泣きながら帰ってきた息子の姿を見て驚いた。 どうしたの、誰かに苛められたの、転んだりでもしたの、何があったの。 聞いても、ただ小さな息子は首を横に振るだけだった。 ただ、彼の母親譲りの黒目がちな大きな瞳から涙が次々と溢れ出した。 母親は息子を抱きしめた。 すっかり身体の冷え切ってしまった、可愛い息子をぎゅっと胸にかき抱き、 背中をさすって身体を温めた。 息子はそれでもまだ泣いていた。 父親が会社から帰ってきた時、泣きじゃくる息子と、我が子を抱きしめている 母親を見て驚いた。 小さな妹に何があったのかと聴いても、妹は、お兄ちゃんがずっと泣いてる、 何でかは分からない、と悲しそうに言うだけだった。 父親もまた彼を抱きしめた。 どうしたんだ、何か怖いことでもあったのか、大丈夫だ、もうお前はおうちにいるんだ、 みんないるぞ、みんなお前を守ってる、だから大丈夫だ、もう大丈夫だ。 そう言って、理由も分からず泣きじゃくる息子を抱きしめた。 妹も彼の手をぎゅっとつかんだ。 おにいちゃん、泣かないで、悲しいの、おにいちゃん、おにいちゃん。 彼は泣いて、泣いて、泣いて、そして枯渇した。 家族の愛情を感じなかったわけではない。 しかしそれでは彼を満たすことは出来なかった。 芯まで冷え切って、乾ききった彼を満たすことは決して出来なかった。 違うんだ、俺の欲しいのは。 俺の身体が欲しがってるのは、こんなもんじゃない。 もっと、もっと声を抑えられないような激しい快感。 突き上げられるような、身を裂かれるような衝動。 もっと犯して。 もっと汚して。 もっと辱めて。 俺を犯して。 なぶりものにして。 |