|
U ARE THE SEX MACHINE / EIJI-1
初めての時のこと、大石は覚えているのかな。 俺はちゃんと覚えてるよ。 すんごい懐かしいな。 1年から2年にあがる春のことだったよね。 ダブルスをやってみないか、って先輩に言われたんだ。 それまでダブルスなんて考えてなかったし、ちょっとやだって思った。 だって、なんか地味じゃん? 「誰とですか?」 ぶすったれて聞いた俺に渋面を返しながら、先輩はお前を呼んだ。 それまであんま喋ったことなかったね。 クラスも違ったし、まだ1年の時は同学年の部員がもっと大勢いたもんね。 でも気になってた。ずっと。 優しそうだなぁって思って。 いっつも笑ってたじゃん、お前。 げらげらじゃなくて、にこにこしててさ。 話してみたいな、って思ってたんだよ。ほんとだよ。 だけど、お互いに仲のいいグループが違ったんだよね。 お前はよく手塚と一緒にいてさ。 手塚ってあの頃、まだ1年の中でも浮いてたし近づきがたかったから。 あいつと一緒にいたお前とも話す機会がなかったんだ。 こわーい顔した手塚に、恐れ気もなく話しかけてて、手塚もまんざらでもない 顔なんてしちゃってさ。 そうだよね、手塚はお前にはちょっと笑ったりしてみせてたね。 「大石、ちょっと来い」 「はい」 先輩に呼ばれて、お前が近づいてきた時、俺、どきどきしたよ。 だって、目があって、お前、ふんわり笑ったでしょ。 すごくどきどきした。 「こいつと組んでコートに入ってみろ」 「はい」 お前は「何故」とか「どういうことなのか」とか、言わなかった。 ただ言ったんだよ。 「はい」って。 そして、俺を見てふわっと笑った。 春の風が吹いたよ。 ダブルスは思ったよりも楽しかった。 初めてだったけど、全然苦じゃなかった。 「いいじゃないか、おまえたち」 先輩が嬉しそうに誉めてくれたよね。 「いいコンビになるんじゃないか」 俺はすごく嬉しかったのを覚えてる。 俺ってダブルスの才能があるのかなぁ、なんて。 それに、この優しそうな同級生とも息が合うみたい、なんて。 でも違ったんだなって気付いたのはもうちょっと後。 誰かに言われてから。 「お前のプレイ、よく見てたんだろうな」 「だれがー?」 「大石さ。お前がどう動くか知ってるみたいに動くから」 「知ってる…?」 それでお前に聞いたよね。 「あのさ、俺の動き、わかってるの?」 お前はちょっと微笑んで答えた。 「まだ大雑把に、だけど」 「じゃあ大石くんは俺に合わせて動いてるの?」 「そうしようと努力してる」 知らなかったからびっくりした。 俺自身は、どたばた球を追いかけてただけだったから。 あ、取れなかった、って球を見送った瞬間、視界の端に大石がすっと入って来たかと思うと、 すぽーんって音がして、球が返っていく。 それが当り前のことのように感じていた。 だけど、思えばそんなの当り前じゃなかったんだ。 「へぇ…でも今まで一緒にプレイしたことなんてなかったのに」 「見てたよ」 と、お前はふんわり微笑んだ。 「俺、菊丸くんのプレイ、見てたから」 馬鹿だから、勘違いしたんだ。 本当にバカだよね、俺。 大石も俺のこと、気にして見てたんだーって。 違ったね。 お前はみんなをよく見てた。 人のこと、よく見てたんだよね。 なのに、俺はバカだったから。 自分がお前にとってトクベツなのかと思っちゃったんだ。 バカだよね。 ペアを組んでから、よく一緒に帰りながら話したね。 それまであんまり喋ったことなかったから、俺、すごく嬉しくていっぱい話したよね。 お前はいっつも、うん、うん、って聞いてたね。 「菊丸くんって楽しいね」 にこにこ笑っていっつも俺のバカ話を聞いてくれてたね。 「ねぇ、もう菊丸くんって呼ばないでよ」 俺はちょっとお前の膝に手を置いた。 「英二でいいよ、友達はみんなそうなんだ」 「うん、わかった」 お前はにっこり笑った。 俺はちょっともじもじと聞いた。 「お、俺はさぁ」 「うん」 「なんて呼んだらいいかなぁ」 俺ね、お前の名前が好きだよ。 秀一郎って、すごくお前らしいよね。 特に「秀」の字が、お前らしいと思うんだ。 でも、そう言えなかったんだよ、てれくさくて。 「普通に『大石』でいいよ」 笑って答えたっけ。 それってすごく普通の会話だったんだけど、俺はちょっと寂しかったな。 何だかさ、距離を置かれた気がしちゃったんだ。 トクベツになりたかったんだ、お前の。 毎日一緒に帰ったけど、それって、俺が「かえろ」って誘ってたよね。 俺があんまりお前にひっつくものだから、手塚があんまりお前と一緒にいられなく なっちゃって、あいつ、よく一人ぽっちになってたっけ。 お前はそれを気にしてた。 「大石、久しぶりに一緒に帰らないか」 練習のあとで手塚がお前に声をかけたことがあったじゃない? あいつにしてはすごく珍しいことだったから、俺はびっくりした。 お前は笑って「うん」と答えたっけ。 俺ね、あの時ちょっと泣きそうだった。 ああ、そっか、俺たちは一緒に帰ってたけど、それって俺がいつもいつも 「おーいし、かえろ」って誘ったからなんだなぁって。 だからお前は、今日は手塚と帰るから、とかごめん、とか俺に言わないんだなぁって。 だって何も俺に言ってくれなかったんだもん。 お前は誘われたら誰でもいいのかなぁ、って。 その日は他の奴等と一緒に帰った。 そん時にね、誰かがすごい下ネタ言って、みんなで笑ってたんだ。 そしたら誰かが言った。 「手塚と大石もこーゆー話してんのかなぁ」 「しねーって、あいつらお堅いもん」 「じゃあ何話してるんだろうな」 「英二、お前最近大石と仲いーじゃん。何話してんだよ、いっつもさ」 「何って、色々」 「例えば?」 「だから色々。家族のこととか、勉強のこととか、部活のこととかさ」 「へぇ、大石って兄弟、何がいんの」 そして俺は気付いた。 俺のことを沢山喋ったけど、そういえば俺はお前のことを何も知らないってこと。 俺がお前のことで知ってるのは、優しい顔だけだった。 だけど、俺はそれだけでお前を好きになれたんだ。 ねぇ、大石、知ってた? 俺ね、お前が大好きなんだよ。 言ってなかったよね。 だって言うの、恥ずかしかったんだもん。 俺たちはスキとかアイシテルを言う前にヒトツになっちゃったしさ。 「大石んち行ってみたいな」 「うち?」 お前はふんわり笑った。 「うん、行ってみたいなって思って。ダメならいいんだ。だけど、ちょっと 見てみたいなって思って。それで、行ってみたいなって。図々しいよね。 だからダメならいいんだけどさ」 俺は同じ事を何度も繰り返した。 バカみたいだったと思う。 「いいよ、あんな家でよければ今から来る?」 お前は優しかった。 ねぇ、あの日のこと、覚えてる? 俺、アクアリウムなんてものも初めて見た。 すっごいキレイだった。 「なーに、これ。色々チューブでてるの」 「水をまわして、綺麗にしてるんだよ」 色々教えてもらったけど、何も覚えてないや。 それからお前の部屋のいろんなものに、いちいち「なにこれ」って聞いて、 いちいちお前は優しく教えてくれたね。 「へぇ〜、大石んちって、俺の家とは全然違うんだね」 俺は一通りあちこち見終わると、ベッドの上にぽふん、と座った。 「そう?」 お前はテーブルに乗ってた俺の飲み物をとって手渡してくれる。 「うん、すっごいキレイなんだもん、何もかも。うちなんてもっとゴチャゴチャ しててさぁ。あ、今度遊びに来なよ。びっくりするよ、絶対!」 「英二の家は家族が多いから賑やかなんだろうな」 「賑やかなんてもんじゃないって」 そうして俺はベッドに寝転んだ。 「いいな、一人部屋〜。いいな、一人のベッド〜」 ぽふん、とベッドに顔を埋めると、ふんわりいい匂いがした。 ほんの少しだけ、ふんわり。 「大石、香水つけてる?」 顔をあげて訊ねたら、お前はちょっとはにかんだ。 「うん。ちょっとだけ」 「嗅がせて」 「ちょっと待って」 お前は立ち上がって棚から小さな青い瓶を持って来て、俺に渡した。 俺はくん、と鼻をならした。 「ちょっと匂いが違うよ?」 「何が?」 「このベッドの匂いと、この香水と」 だってベッドは俺の匂いとまざってるもの、とお前は頬を少し染めて笑った。 「俺ねぇ」 俺にとっては一世一代のクサイ台詞を吐いたつもりだったけど、どう聞こえた? 「俺、ベッドの匂いのほうが好きだな」 「嗅がせてよ、もっと」 俺はお前の腕をつかんでひきよせた。 何でだろうね。 何であんなことしたんだろうね。 俺、お前のこと大好きだったんだよ。 言わない内にセックスしちゃったね。 だから言う機会をなくしちゃったんだ。 身体がつながってるから、気持ちもつながってるんだって、 俺、勘違いしちゃってたんだ。 バカだよね。 「うわ」 急に腕を掴まれて俺に倒れかかったお前を、捕まえた。 「ねぇ、すごくいい匂い」 お前を捕まえて、首筋に鼻を埋めた。 「大石、いい匂いする」 考えてみれば、あの時って、お前の誕生日を過ぎた頃だったから、まだお前が14歳で、 俺なんて13歳だったんだね。 今よりも身体も小さくて、細くて、しかも身長の差も今よりあったっけ。 お前は俺より7cmも背が高かったはず。 だから、お前を押さえつけようと、結構必死だった。 そんな必要もあんまりなかったけど。 俺に羽交い締めにされて、困った顔してたよね。 あの時のお前の顔、今でも覚えてる。 すごく悲しそうな顔してた。 なんだか、諦めたみたいな顔してた。 あの時、悲しかったの? またか、って思ったの? こいつもか、って思ってたの? 俺、お前がそんな風に思ってるなんて知らなかった。 お前が抵抗しないのを、てっきりお前もしたいってことなんだって解釈しちゃったんだ。 今から思い出すと、すごく恥ずかしい。 だって、俺、本当の本当に初めてだったんだもん。 おまけにちんちんがまだむけてなくってさ。 唐辛子みたいだったんだよ。 それなのに、お前、ちゃんとむけてたんだもん。 見た時びっくりした。 俺、どうしていいのかわかんなくってさ。 だって漠然としか知らなかったんだもん、セックスのことなんて。 どっかにちんちん入れるんだよね、って感じで。 それが男相手だったらどうするのかなんて知らないよ。 俺はお前にくっつきたかったんだ。 だから、お前の服を脱がせて、俺も裸になった。 悲しそうな顔して、俺にされるがままになってたよね。 顔を背けて、目を伏せて、下唇を噛んでたよね。 でも抵抗しなかった。 だから、俺も止まらなかったんだ。 抵抗しても、きっともう止められなかったと思うけど。 それで、仰向けになった裸のお前に乗って、ぎゅーって抱きしめた。 もうそれだけで俺は満足しちゃってたんだ。 それ以上は何が起こるのか、自分でもわかってなかった。 お前の日焼けしていない部分の肌は白くて、すごくしっとりしてた。 ピンクの乳首がちょん、って立ってて、綺麗だなぁって思ったんだ。 もっと触ったり、もっとくっついたりしたいなぁって。 俺、自分の胸をお前の胸にすりつけたりして、すごく興奮してたでしょ。 実は全然わかってなかったんだ。 ドラマとかで男と女がヤってるシーンって、下半身映さないじゃん? だから、ひたすら胸をこすり合わせてるんだと思ってた。 子供だったんだよね、まだまだ。 小さな乳首をきゅ、ってひねり潰すと、お前がぴく、って動いた。 黒目がちな目が長いまつげの奥で潤んでて、それで、俺、勃起したんだ。 唐辛子みたいでも勃起はするし、俺だってオナニーくらいはしたことあったんだからな。 でも、じゃあこれをどうするの、って段になると、全然どうしていいかわかんなかった。 それで、お前に言ったんだ。 「ね、大石、きゅって握って?」 思えばゴーカンしてるくせに図々しいお願いだったけど、お前はふっと目を落として、 俺のちんちんをそっと手で包み込んだ。 こんなに優しい掌をしてるなんて知らなかった。 すごく気持ちよくて、俺がいつもコソコソ布団の中でやってるオナニーなんかとは 比べ物にならなかったな。 お前は上手だったし。 俺はもう夢中で、お前の頭をまたいで、しごかれるままになってた。 もうぱんぱんになっちゃって、おしっこがしたい感じになったから、出るなって思った。 出たらどうしようかなぁ、なんてちょっとだけ冷静な頭の隅で考えた瞬間、 お前は俺のを咥えたんだ。 当然フェラチオなんて初めてで、俺はビックリした。 だっておしっこするものじゃん、ちんちんって。 「大石、だめ、そんなの口に入れたら汚いよぉ」 お前はその声に、伏せた目をちょっとあげて、俺をちらっと見た。 その目。 なまめかしくて、エロティックな目。 俺はちんちんがこんなに固くなったの、初めてだった。 そして、あっけなく射精した。 お前の口の中で。 お前に魅入られた瞬間だったんだ、あれが。 く、と俺の体液を飲み干して、また咥えてしゃぶりはじめた。 柔らかくなったちんちんが、くちゅくちゅ音をたてて、すごくエッチだった。 「おおいし・・・」 俺はぶるぶる、って震えた。 大石はずっと温厚で、優しくて、大人で。 こんな顔、初めて見た。 目を伏せて、苦しそうに俺のちんちん咥えてる大石なんて。 こんないやらしい顔した大石なんて。 俺のちんちんはあっという間にまた、ぴこ、って勃起しちゃった。 ホントに小さなちんちんだったから、ぴこ、って感じだったよね。 「大石、どうしよう、また勃っちゃった・・・」 俺は情けない声を出してたと思う。 また大石の口の中で出したいなって思った。 だって気持ちよかったんだもん、さっき。 大石は少し眉根をひそめた。 怒っちゃったかな、ってびくってした、あの顔見て。 お前は困ってたんだよね。 お前は悲しかったんだよね。 ごめんね、全然わかってなかった。 お前はくちゃって音をたてて、俺のちんちんから口を離した。 そうして、身を起こして俺の肩を抱くと、俺を仰向けに寝かせた。 お前のほうが身体も大きかったんだもん。 しかも、一回射精して腰もちょっとガクガクしてたし、お前にされるがままになってた。 そうして、お前は俺にまたがったんだ。 何するんだろう?って思った。 このまま馬乗りになられて、ボコボコに殴られたら抵抗できないなぁ、って考えたよ。 それで、お前の顔を見たんだけど、お前は相変わらず目を伏せて、 俺の顔を見てくれなかった。 そして、俺の小さなちんちんを握って、腰を沈めていったのには俺はびっくりした。 何するんだ、こいつ、って思って。 俺のちんちんをどうする気だ!って。 ぐぶぐぶ、って入っちゃった。 生暖かくて、きゅ、って根元がしめつけられた。 ちょっと考えられないくらい気持ちよくてさ。 俺、うっかり声出してた。 「お、大石、何してんの」 びっくりしたんだ。 それに、すぐ出ちゃうなって思って。 「おおいし?」 お前は俺のことを見てくれなかった。 目を伏せて、唇を噛み締めてた。 そして、腰をぐちぐち動かしだした。 「おおいし、おおいし。何、これ何ぃ」 俺は喘いでた。 まるで反対だった。 今から考えても、お前はすごく上手だった。 どう動けば、どういう刺激をちんちんに与えるのか、すごくよく知ってた。 早く終わらせたかったの? すごく急激に俺を頂点まで導いたよね。 「おおいし、でちゃうよ、でちゃう。もうだめ。でちゃうよぉ」 見上げたお前の顔は本当に綺麗だった。 額に汗が一筋。 そして眉をひそめて、目を伏せて、唇を噛んでた。 悲しそうで、苦しそうで、凛々しくて。 「おおいし、おおいし!!」 どんなに思い返しても、俺はあの時のお前のちんちんがどうなってたか覚えてない。 勃起してた?してなかった? どちらにしても、俺はあっという間に射精してしまった。 お前のこと、イかせてやれずに。 お前の腰をつかんで、声出して、俺はすごくいっぱい、お前の中に吐き出した。 終わってから、すぐにお前は俺のちんちんから身を離して、ティッシュに手を伸ばしてた。 そうして、俺のを拭いてから、自分でも拭いてたっけ。 ねぇ、あの時、すごくお前が好きだと思った。 あの時、ちゃんと言ってれば、俺たち、今頃もっと違ったかな。 だってあの時、お前のセックスパートナーって俺だけだったんでしょ。 俺に背を向けて、そっと前から手を差し入れて自分のアナルを拭いている姿は、 とっても素敵だった。 俺、たまんなくなって、お前の背中に抱きついた。 すごく好きだって感じた。 すごく好きだよ。 大好きなんだよ、大石のこと。 だけど、お前は俺の抱擁を違う風に受け止めたんだね。 背中を固くした。 またしようとしたんだと思ったのかな。 それとも、俺が謝ってるんだと思ったのかな。 とにかく、お前は俺を振り払った。 あの時の、お前の唯一の抵抗だった。 それからすぐにお前は、俺が脱がせてベッドの下に投げ捨てた服を身につけたっけ。 俺はその姿を呆然と見ていた。 お前は俺の服をひとまとめにして、俺の横に置いて、部屋から出て行ってしまった。 泣きそうになったよ。 俺、とんでもないことをしちゃったと思った。 もう大石は俺と話してくれないんじゃないか、俺のことなんて嫌いになっちゃったんじゃ ないか、俺のこと軽蔑してるんじゃないか。 そう思って、泣きたくなった。 30分ほどしたら、お前は部屋に戻ってきた。 マグカップを二つ持って。 俺はさすがに服をもう着て、所在無くベッドの上に座っていた。 ドアが開いて、お前の顔が覗いたときにはびっくりした。 いつもの表情。 優しくて、温厚で、暖かい大石の表情に戻ってたから。 「飲み物、紅茶でいいかな」 微笑んで、俺にマグカップを手渡した。 お前、目が赤かったんだ。 泣いたんだよね、きっと。 悔しかったんだよね。 憎かったんだよね。 人の情欲の対象になることも。 それに従う自分の身体も。 「あのね、大石・・・」 俺は何か言おうと思ったんだけど、大石を見て、言葉を失った。 お前の俺を見返す目が、すがるようだったから。 あんな目、あの時以来見てない。 何も言わないで、って目。 お願い。お願いだから何ももう言わないで、って目。 「・・・おれ、そろそろ帰らなきゃだな」 俺は声を絞り出した。 ねぇ、あの時でもよかったよね? あの時でも遅くなかったよね? 大石が好きなんだよ、って言うの。 ちんちんが気持ちよくなりたいから大石としたんじゃないんだよ、って。 大石がすきなんだよ、って。 何で言わなかったのかな。 俺、全然ダメな男だね。 「そっか。じゃあまた遊びに来てよ」 お前は笑った。 ほっとしたみたいに。 俺は本当にそれから、また何度もお前んちに行った。 行くたびにセックスをした。 するたびに、俺、言えなかった。 お前がすきだよって。 言えなかった。 |